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(図表はクリックすると拡大します)
H. specksiiは当初H. blackbeardianaが無毛か少毛になった種だと考えられていましたが、後者に比べて葉色が濃く、窓は大きくて非常に透明です。特にWhittlesea地方の群落に見られる水羊羹のような、やや濃い緑色の非常に透明な窓は特異的な特徴で、この特徴はH. calaensisやH. albans n.n. (St. Alban’s)とも共通します。
H. blackbeardianaなど、H. teneraの子孫はみな白緑色肌で窓は半透明(濁っている)なのが共通の特徴です。したがってH. specksiiはどうもTenera complex(テネラ複合群、H. teneraの子孫群)の種ではないのではないか、という疑問が生じます。
そこでこのような特徴の窓の植物を探すと、Riponの通称H. pringleiの中にこのような特徴の大きな窓を持つ植物が多数見つかります。H. pringleiは小型のH. blackbeardianaと言った感じの種で、肌色も窓の大きさもRiponの植物とはまったく異なります。したがってRipon周辺に多数あるこれらの群落をH. ripons n.n.としてこの仲間を整理すると前の図のようになります。これらはみなH. lapisの子孫で、Zuurbergの東~北側に展開したグループですが、今回はH. blackbeardianaやH. specksiiに関係するものだけ解説します。
H. riponsはZuurbergの同様な窓を持つやや小型の植物(H. nubila n.n.やH. indica n.n.)が平地に展開した種と見られ、さまざまな形質の群落が数百メートル間隔で点在しています。窓は平均して大きく、白緑色から濃緑色まで多様ですが、透明感はかなり強いです。
またMBB 6557(W Ripon)はH. obtusaに非常に良く似ていますが、この番号の植物を輸入(Sheilam、おそらくBayerの実生)しても他のRipon産植物とあまり違いません。同様の例はMBB 6922(H. indica, Zuurberg)でも見られ、Sheilamから輸入した植物はUpdate-1:55に掲載された様な形態の植物にはなりません。産地では厳しい環境なのでUpdate写真のように詰まった形態になるのではないかと考えています。
H. hisuiはH. obtusaにH. riponsが浸透交雑した種と見られ、葉色はやや薄いですが、透明感の非常に強い大きな窓を持っています。これにH. hastataが遺伝子浸透したと見られるのがH. aoebis n.n.(青恵比寿)やH. rufa n.n.(赤い)で、極めて美しい植物です。ただH. aoebisはH. hisuiの特異個体なのか、H. hisuiとは別の群落として存在するのか、疑問なので確認中です。
さて、問題のH. blackbeardianaとH. specksiiですが、これを次の表のように整理しました。表中の数字はBreuer氏の採集番号です。私の判定ですのでBreuer氏の判定 (The Genus Haworthia、Book 2)とは若干違いますが、参考にしてください。
また、この稿の図や表に出てくる未記載種の名前は私が便宜的に付けたものです。参照した標本の多くはBreuer氏のものですから、命名権は彼にあります。したがって彼が既に別の名前を用意しているとか、私の名前が気に入らないなどの場合は今後変更されることもあります。しかしこれまでのところ、Breuer氏は多くの種で私が提案した名前を採用してくれていますので、あまり多くの変更はないだろうと楽観的に見ています。
なお、この稿中のBreuer氏の採集番号の写真は基本的にBreuer氏が撮影したものです。同氏から使用許可を得て掲載しています。
(編集者註:記事容量が大きいため3つに分割しました)
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