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May 2024

ハオルシア研究36号の一部が公開されました。

 

ハオルシア研究36号(オブト錦特集)目次予定

表紙

1章 オブト錦の品種群

2章 オブト錦購入の注意点

3章 赤系オブト錦 優良個体

4章 黄系オブト錦 優良個体

5章 白系オブト錦 優良個体

6章 透明系オブト錦 優良個体

7章 オブト錦ブームの次に来るもの

8章 ハオルシア園芸の未来

 

表紙から第3章までは期間限定で一般公開しました。

4章以降は会員ページに順次掲載します。(おおむね月に1章程度の予定)

 

ハオルシア研究35号はアマゾンキンドルに掲載準備中です。

アマゾンキンドルに掲載されると35号は当会HPでは閲覧できなくなります。必要な方はその前にダウンロードしてください。

20245月  

The journal of Haworthia Society of Japan

日本ハオルシア協会

Haworthia Study

ハオルシア研究  No. 36




4-2-1 ドドソン キノコ

「紫オブト錦 (ドドソン紫赤斑) 202442 Yahoo!オークションより

出品者 東京都 キノコさん

オブツーサの斑入りは以前からたくさん育成されてきたが、そのほとんどは黄色の斑であった。

ところが最近になって鮮やかな赤色の斑入りが多数作られ、ネットオークションで売られている。

この写真のような、まさに生きた宝石と言えるような美しい株が多数売られ、大人気である。

価格も多くは5千円以下、高くても23万円程度と手の届く範囲であり、人気を後押ししている。

ハオルシア園芸の新しい方向性であり、これをきっかけに新たな愛好家が増えることを期待したい。

オブツーサ類には多くの種がありますが、産地で分けられていることが多く、外見的には区別のつかないものが多いです。園芸的には種にかかわらず、外見から品種群を分けますが、園芸的区分は次のようになります。


 (1)
紫オブト :ドドソン紫などのH. vista。紫肌丸頭でノギはないかごく短い。

(2) 丸窓オブト:舞姫等のH. joyae。肌完全丸頭(無ノギ)で窓は小さい。

(3) 小型オブト:姫オブト等のH. ikraH. kubusieなど。濃緑肌、丸頭~やや尖り葉。小型で群生性。

(4) 中型オブト:水晶オブト等のH. obtusa。濃緑肌でやや尖り頭。

(5) 黒肌オブト:ブラックオブト、竜爪などのH. obtsa。黒緑肌で尖り頭、中型オブトに似るがより小型。

(6) 巨大型オブト:エンペラーなどのH. imperialis。薄緑肌でやや軟質葉、非常に大型。

(7) レツサオブト:大紫水晶オブトやジェリーフィッシュなどのレツサ系との交配品種群。雑多なグループだが、一般に葉質は硬く窓は小さい。

 

ベヌスタとの交配系は繊毛が多い苗はベヌスタ類、少ない苗は外見により紫オブト類や中型オブト類として扱われることが多いです。

 

宝草錦や京華錦など、シンビ系品種との交配はマリンなどと呼ばれていますが、さらにオブト錦と戻し交配され、オブト錦に非常に近いものが多数作られています。オブト錦として売られていてもマリンの戻し交配であることもしばしばです。しかしこれら戻し交配苗は園芸的には非常に美しいものが多いです。

 

ボルシー錦などレース系との交配は鋸歯が長くて多い点で区別できますが、オブト錦とは言えません。また園芸的には長くて沢山ある鋸歯は斑の鑑賞上邪魔になります。

 

その他に、広義のオブツーサ類としては次のようなグループがあります。

 

H. leightoniiH. davidiiH. rufousaなどはH. doldiiの子孫で、赤い色素を持っています。

 

またH. gordonianaH. tomeiH. harryiなどの系統は青い色素を持っています。

 

H. aqueaH. specksiiあるいはH. malvinaなどH. vittataH. blackbeardiana)の仲間はH. cummingiiの子孫でオブト類とは全く別系統です。

 

なお品種は外見から類似他品種と区別できることが基本ですから、オブト錦の名前の多くは品種グループ内のクロン名です。ラベルなしで区別できないものは同一品種です

人気のオブト錦ですが、購入に当たっては若干特殊な注意点があります。

 

(1)全斑

中心部に葉緑部分が全くない(全斑)の個体は早晩枯れてしまいます。いくつか例を挙げてみます。

① 4-21  ゴースト xia

① ヤフオク 2024-4-21 「ゴースト」

成長に伴い、外葉の緑色をした葉が古くなって枯れ、中心部の無葉緑の全斑部分だけになると枯れます。「氷砂糖」と同じで枯れる前に根元から出た葉緑部分のある仔を分離して育てる必要があります。

 しかしこのような品種はいずれ枯れることを前提として、それまで(23)の間楽しめればよいと割り切って栽培すべきものです。

② 4-21 ドドソン キノコ

② ヤフオク 2024-4-21 「紫オブト錦」

一見「ゴースト」に似ていますが、中心部にわずかに葉緑が残っていますので、継続して生育させることができます。ただし外葉の葉緑の多い葉が枯れると成長は非常に遅くなり、性質も弱くなります。栽培には注意が必要です。

③ 4-14 実生 キノコ

③ ヤフオク 2024-4-14 「紫オブト錦」実生

一見全斑のように見えますが、葉の葉脈が中心部の葉まで日焼けしており、そこに葉緑がしっかり残っています。このタイプの斑入りは健全に成長を続けさせることができます。

④ 4-11 実生 キノコ

④ ヤフオク 2024-4-11 「紫オブト錦」実生

この株は全斑で葉脈にも葉緑が残っていません。しかし中心部の葉は緑色をしており、若い葉は光合成をおこなうことができます。葉が年を取ると葉緑素が分解して全斑になるタイプです。このタイプの全斑は継続して成長を続けさせることができます。

 コレクタ錦やコンプト錦、あるいはルリ殿錦等にもこのタイプの全斑があり、大苗まで育て上げることができます。


(2)片斑 株の片側だけに斑が入るもの、特に源平斑(斑入り部分とそうでない部分が鮮明に分かれているもの。反対は斑が株全体に散らばって入る散り斑。)は要注意です。

⑤ 5-10 丸窓オブト錦 hacco

⑤ ヤフオク 2024-5-10 「丸窓オブト錦」

このタイプの斑入りから出る子株は全斑か斑なしが大多数です。また斑の部分が株全体に回ってくることはほとんど期待できません。


⑥ 5-26 オブト xiao

⑥ ヤフオク 2024-5-26  「オブト錦」(おそらく紫オブト系)

一見片斑ですが、よく見ると株全体に斑が回っています。ただ全斑の部分は成長が早いので、全斑が成長点の周囲全体に回り、株全体が全斑になる可能性があります。

「赤い鳥」など赤系オブト錦は種類が少ない上に色がきれいなので大変人気でした。

ところが最近様々な種類の赤系オブト錦が作られ、ヤフオク! などのネット上で大量に売られています。多くは中国産と見られますが、国内産も相当数売られています。これら最近の赤系オブト錦は窓が大変透明なことが大きな特徴です。そのためにノリ斑や全斑に近い斑入り個体は透明な窓全体が赤やピンクに色づき、まさに生きた宝石と呼ぶにふさわしい芸術品になっています。

 

 赤斑に限らず、黄斑や白斑でも同じ傾向で、従来のものと比べ、窓の透明度が非常に高くなっている点は共通しています。したがってオブト錦全体として赤、黄、白などの非常にカラフルで宝石のような美しさの株が比較的安価に売られ、ハオルシア人気を大いに盛り上げています。黄斑や白斑、それにこれまでなかった透明斑などの優良個体は次ページ以降に順次ご紹介します。

 ここではまず赤斑の優良個体をいくつかご紹介します。


3-25 ドドソン キノコ

2024-3-25 ヤフオク キノコさん出品 紫オブト錦(ドドソン紫)

② 4-24 奈良姫 キノコ
2024-4-24 ヤフオク キノコさん出品 姫オブト錦 (奈良姫) 


③ 3-31-2 ドドソン キノコ 23500

2024-3-31 ヤフオク キノコさん出品 紫オブト錦(ドドソン紫)

④ 3-30-1 ドドソン キノコ

2024-3-30 ヤフオク キノコさん出品 紫オブト錦(ドドソン紫)


⑤ 4-3-1 姫 キノコ
2024-4-3 ヤフオク キノコさん出品 姫オブト錦


葉の根元の赤系色素が葉緑と反応して、窓が紫に見える。紫斑というわけではなさそう。

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