ヤフオクやメリカリを見ていると、多くの方が自分で交配したさまざまな実生苗を出品しています。熱心な趣味家の方が多いのですが、それらの出品苗を見ていると「これとこれを掛け合わせるとこんなものができるのか!!」と言った具合に、大変参考になります。またそれらの苗からグループごとの、あるいはグループ間の交配の一般的傾向がわかってきます。今回は透明窓ハオルシアを中心に、それら育種に関する話題をいくつかご紹介します。
透明窓ハオルシアの代表はオブト類(オブツーサ)で、非常に多くの実生苗が作られています。しかしこの仲間は窓に模様がないので基本的に変異に乏しく、ほとんどの場合実生苗は大同小異で、品種名をつけられるほど特徴のある個体はなかなか出てきません。
特に葉先に禾がなく完全丸頭の紫オブトは原種が1種(H. vista n.n.)しかなくて変異の幅が非常に小さいです。「紫オブト」には”OB-1”や”サカイ”、”林ブルー”などの名前を付けて売られている個体が多いですが、それら同士の交配も多いため、そのほとんどはラベルなしでは識別できません。
これら識別困難な個体群は品種的にはすべて「ドドソン紫」で、”OB-1”や 〝サカイ”などの名前は品種名ではなく、クローンの個体記号です。
「紫オブト」は直径8cm以上になる完全無毛(無禾)、丸頭で、帯紫色のオブト類と定義されます。「紫オブト」には「ドドソン紫」の他、「恋紫」(金子特黒など。より暗色で窓もより透明)、「薄紫」(分類的には大型のH. ikraで、薄紫色)、径10㎝以上になる大型の「天涯オブト」、大粒の(葉が太い)「仏頭玉」(写真①。最大径は11cm)などがあります。
① H. vista n.n. (紫オブト)「仏頭玉」 D=8.5cm LW=2.6cm
完全無毛(無禾)、丸頭、帯紫色のオブト類でも径5㎝程度にしかならない、仔吹性のものは「紫オブト」ではなく、H. ikraやH. kubusie, H. boloniaなどのイクラ類です。以前はH.
obtusa v. truncataと呼ばれ、今は”雫石”などと呼ばれている仲間です。この仲間は産地データなしでは識別しがたく、産地データ付きの原種扱いとすべきものです。
これら小型で丸頭のオブト類は明治以来「玉露」と呼ばれていました。最近ではこの名前をオブト類全体に拡大適用して使う業者らがいますが、広く使われていた名前を勝手に変えると消費者が誤認する恐れがあり、不正競争防止法違反の可能性が高いです。
葉先が尖ったオブト類はほとんどがH. obtusaです。無禾で葉先が丸いものはオブツーサ、葉先が尖ったものはクーペリーだと誤認している人もいますが、正しくは無禾で葉先が丸い大型個体は紫オブト(H. vista)、葉先の丸い小型個体はイクラ類(玉露)、葉先のとがったものはオブツーサ(H.
obtusa他)です。
H. cooperiはオブト類ではなく、無鋸歯のH. specksiiです。これはH. cooperiの発見者、Thomas Cooperの採集記録から明らかです。Cooperは同時に記載されたH. pilifera (小型で鋸歯の多いオブト類。今日のH.
luriまたはH. salina) 以外のオブト類の産地には全く足を踏み入れていませんので、H. cooperiがオブト類の一つと言う可能性は皆無です。
初めに書いたように、オブト類は変異の幅が小さいためにそれら同士をかけてもなかなか特徴のある実生は出てきません。そこでオブト類とレツサ類とを掛けることがしばしば行われていますが、これもまた大同小異で、ほとんどがオラソニー類似です。名前はいろいろ付けられていますが、これと言った品種はまず見当たりません。超大型の「桃太郎」(写真②)など、特徴のある個体はかなり稀です。
② H. obtusa hyb. 「桃太郎」 D=10.5cm LW=3.5cm
オブト類の特徴は透明な窓ですから、例えば葉の半分くらいが透明な窓とか、窓に模様があるとかの方向が進むべき育種の方向性ではないかと思います。そのような育種例の一つが「山紫」(写真③)で、H. transiensの交配です。H. transiensは狭義のオブト類ではありませんが、窓が非常に透明なので良い育種材料です。「山紫」はやや小型ですが葉のほとんど全部が透明な格子模様の窓になります。同じH. transiens交配で大型の「水明」(写真④)と掛け合わせると面白いものが出来そうです。
③ H. transiens hyb 「山紫」 D=6.5cm ④ H. transiens hyb.「水明」D=12cm LW=2.5cm
オブト類育種の利点の一つが、宝草錦や京華錦など、近縁の斑入り品種が非常に大量にあるということです。実際、これらを使ってマリンとか京の花火とか、美しい斑入り品種が大量に作られ、またそれら同士、あるいはそれらとオブト類との戻し交配により、さらにオブツーサに近いきれいな斑入り品種が大量に作出されています。
しかしこうなるとどこまでがマリンで、どこからがオブト錦なのか、線引きができず、実際多くの中間型交配斑入りが「オブト錦」(オブツーサ錦)の名前で売られています。この傾向は今後さらに進んでいくでしょうから、マリンや京の花火も含め、品種的にはすべてが「オブト錦」類となり、これまでの”品種名”はクローンを表す個体記号ということになります。
ただし識別不能な類似個体がほとんどなく、ラベルなしでも識別できる個体は独立した品種です。例えば花水晶や白蛇伝がそうです。他にも特徴が明瞭で独立した品種と見られる個体はいくつもありますが、名前だけ違っていても、あるいは新しい名前が付けられていても、類似他個体や他品種との識別が困難なものは単に「オブト錦」です。
新しい名前の苗は商品説明に類似他個体や他品種との識別点が必要です。そのような商品説明を全くしない、あるいは単に「実生オリジナル」と言うだけの商品は識別性がないことを自認しているような商品ですから、要注意です。
オブト類には紫オブトや玉露類の他、非常に多くの種があります。またH. paraiba
n.n.(Edendale)やH. glaucina n.n.(W. Fort Brown)、H. turcosa n.n.、H. byssina n.n.などのようにほとんど知られていない、美しい蒼緑色の種もあります。これら原種系オブト類も一部で選抜育種や実生が始まっていますので今後が楽しみです。
オブト類は窓に模様がないので変異の幅が小さいですが、レツサ類には窓に模様のある種が多く、それらを掛け合わせてよりきれいな模様の品種が多数作出されています。
ピクタは最も古くから育種が進められた種群ですが、今でもスプレンデンスと並ぶ人気種群です。ただピクタ、スプレンデンス、ピグマエアなど、点紋系の品種はコレクタやコンプトなど、線紋系の品種より変異の幅が小さいので、育種が一定のレベルに達するとそれ以上のものはなかなか作出できないという問題があります。
また白点模様の中に線模様を入れるべく、様々な交配がされていますが、ピクタ「前人未踏」など、確かに線は太いですが、あまり美しくありません。ハオルシアの美しさの多くは透明な窓によるところが大きいのですが、これら線模様が入った品種のほとんどは窓に透明感がなく、あまり美的ではありません。今後の大きな課題です。
さらに最近は赤系統のピクタに人気があるようですが、これも線模様のあるピクタと同じく、これまでの赤系品種には窓に透明感がなく、あまり美的ではありません。
窓に透明感のあるピクタはかなり希少ですが、「モルダウ」(写真⑤)のような個体もあります。太線系でも赤系でもこのような個体を使って、透明感のある品種を作出することが今後の目標となるでしょう。
一方、ピクタでは「蛙玉」や「深海の女王」などの矮化変異がいくつか出ています (海皇もその一つ?)。これらは葉が寸詰まりで短葉(ダルマ型)になるので、人気がありますが、矮化変異なので年月が経っても株径は大きくなりません。実生苗がどうなるかわかりませんが、遺伝性があっても短葉のまま大型化することはないでしょう。
葉型をよりダルマ型にするのは多くのレツサ系品種に共通した目標ですが、その点では矮化変異より大型化変異の方がはるかに可能性があります。
大型化変異は培養苗でしばしば出現しますが、葉さしでも稀ではありません。大型化すると葉幅が大きくなるだけでなく、葉先も丸くなります。これまでに王日光(日光)、王ジュピターなど、また葉先が丸くなることは確認できませんが、翡翠龍(白妙)、玄武帝(玄武)など、玉扇・万象でもたくさん出現しています。
その他、「良子」(「ピンキーの大型化」)や「スーパースター」、「ムーランルージュ」、「銀河鉄道」、「白帝城」、「森の妖精」などにも大型化変異が出現しています。これらの中でも特筆すべきは「クイーンマリリン」大型化と思われる「キングマリリン」(写真⑥)で、「モルドール」との交配ではないかと思わせるようなダルマ葉型の個体です。
⑥ H. hybrid 「キングマリリン」 D=7cm LW=3cm
ピクタでも「ダルマ白銀」の大型化変異があり、「玉白銀」(写真⑦)と名付けられています。また「青木ピクサ」は伝説的な優良ピクタで、その実生から「踊り子」など、鮮明な黒点模様の品種や「大老」(PA-1)のような大型ダルマ葉品種が作出されています。「青木ピクサ」実生の中で最大型が「スターダスト」(写真⑧)ですが、今後これらをもとに大型でよりダルマ葉のピクタが育成されることを期待しています。
⑦ Picta 「玉白銀」 D=8.5cm LW=3cm ⑧ Picta 「スターダスト」 D=10cm LW=3cm
スプレンデンスはピクタと並ぶ人気種群ですが、ピクタより窓に透明感があり、また白点に強い光沢があるので、全体的にはピクタよりきれいです。ただ線模様の入る品種は少なく、また白点の大きさや配置にピクタほどの変異がないので、平均的なスプレンデンス実生苗は全く大同小異で、このような標準的実生苗の人気はピクタよりむしろ低いです。
また白系、赤系、ゴリゴリ系とも、突出した優良品種が作出されており、これを超えることは当面相当難しいでしょう。しかし「タージマハル」などの特優品種を親にすれば一定レベル以上の実生苗はできるでしょうから、名前を付けられるほどの特徴はないとしても、十分楽しめます。これはピクタでも同じです。
一方、スプレンデンス交配には「紫金城」や「金斗雲」など、線模様の入った品種がたくさんあります。またそれらをもとに「Black Knight」(写真⑨)や「Green Sleeves」(写真⑩)、あるいは「インカローズ」、「ブラック&ホワイト」などの傑作も生まれています。
今後はこれらをスプレンデンスと戻し交配し、スプレンデンスのダルマ葉型でこれらの模様の入った品種を作出することが目標になるでしょう。
⑨ H. splendens hyb. 'Black Knight' D=6.5cm ⑩ H. splendens hyb. 「グリーンスリーブズ」
D=7.5cm LW=2cm
レツサ系で線模様のある品種群としては、コレクタの他、コンプトやスプリングがありますが、種数は非常に少ないです。「酒呑童子」など、バデアの一部にも線模様がありますが、これはコレクタとの交配です。その他、線模様のあるレツサ系としてはムチカとピグマエアの一部にコレクタ模様を持つ個体があります。
グロエン(H. groenewaldii)は白点模様が主ですが、太い白線を持つ個体がかなりあり、白線と白点、あるいは緑の地模様とが混ざってかなり複雑な模様を作ります。今後線模様のある新しい品種群として大いに発展が期待されます。グロエンについては稿を改めて紹介します。
なお、白点のないグロエン苗に外国名の個体名を付けて売られているものを見かけますが、グロエンの群落の大部分は白点のない個体です。白点のない個体は特徴がなくて美的でもないので繁殖されず、結果的に流通量が少ないだけで、本来希少というわけではまったくありません。
窓模様には、点紋系、線紋系の他、まだら紋系があります。おおむねパリダやレテキュラータ系の表皮の厚いグループと、バリエガータの子孫である、表皮の薄いノルテリーなどのグループに分けられます。またヘロデアの子孫の、葉質の硬いクリスタリナなどもあります。
まだら系は斑紋がきれいな上に、個体ごとの斑紋の変化が大きな点が人気の理由です。まだら系で一番人気なのがリビダで、一時は非常に高値でしたが、今は実生苗や培養苗がかなり出回るようになり、価格も相当落ち着いています。またリビダの実生ではルビスタや夢二、虹児、「嵐が丘」(写真⑪)などの優良品種が作出されています。ただリビダは全般にかなり小型なのが観賞上の欠点です。
その点では大型リビダともいえるH. neolivida n.n. (写真⑫、Robertson)の方がきれいで、育種上もポテンシャルが高いです。リビダを大型にしたような種ですが、窓もリビダより大きく、またリビダの産地とは約30Km離れていますので別種であることは確かでしょう。
⑪ H. livida 「嵐が丘」 D=6.5cm ⑫ H. neolivida n.n. MH 07-145-2 D=9cm
パリダにも斑紋のきれいな個体群があり、特に最大型である「ゴリラ」(旧ゴジラ。ゴジラは東宝の防護商標のため使えない。)の斑紋は見事です。パリダの斑紋は不透明ですが、これにリビダ系を掛けると「パトリシア」(写真⑬)のように葉の半分以上に透明斑紋が広がる美しい品種ができます。サイズもリビダよりずっと大きく、ほぼ「ゴリラ」なみです。
⑬ H. pallida hyb. 「パトリシア」 D=8cm
”ルプラ ニシフォーム”と呼ばれる個体はH. lupulaではなく、やや鋸歯のあるH. reticulate の一型で、「星の王子」と同一品種です。この品種の実生には「星の王子」とよく似た、不透明斑紋の中小型個体が多数ありますが、名前を付けるほどのものはありません。
まだら系でもう一つ人気なのがクリスタリナです。この種はH. heroldiaの子孫と見られ、葉質が硬くて窓の透明度が高いので非常に人気です。産地的にはH. rooibergensisの産地に非常に近く、当初はロイベルゲンシスと混同されていました。しかし軟質葉のロイベルゲンシスより明らかに葉が硬く、鋸歯も少ないので別種としたものです。
産地はロイベルゲンシスと近接していますが、産地では混生はせず、また中間型もありません。しかし花期が同じで一定の遺伝子交流はあるようなので、実生すると葉色や鋸歯の多さにばらつきが大きく、ロイベルゲンシスに近い中間型も出てきます。
クリスタリナの中には鋸歯がほとんどなく、窓の大きな特優個体が複数あり、「ナタデココ」と名付けられています(写真⑭)。
H. crystallina 「ナタデココ」 MH 05-175-4 D=8cm
一方、クリスタリナはサイズがやや小さく、また葉色が薄いので窓が引き立ちません。その点では祖先種のヘロデア(H. heroldia)の方が濃色で窓もきれいです。ヘロデアは一般に小型仔吹性ですが、中には「マリンブルー」(写真⑮)のように単頭で3号鉢一杯くらいになり、かつ窓が大きな優良個体もあります。分頭性ですが、葉色が濃くて窓が引き立つので、育種親としてはクリスタリナより良いかもしれません。
なおH. notabilisはMaraisiiグループとされていますが、おそらくヘロデアの子孫です。
しかしまだら系育種の中心はリビダやクリスタリナではなく、リンバータやノルテリーなどの交配種に移っています。より大型で、斑紋模様が鮮明で、かつ窓の割合が大きな品種が目標です。
その場合、葉は丸葉ではなく長葉の方が窓面積が大きくなり、あるいは展開性(葉が地面に平行)より、立ち性の葉の方が鑑賞上有利です。そのような点からは、特にリンバータの交配が多数作られており、多くの優良品種が生まれています。
しかしまだら窓に限らず、窓は葉の先端部分にありますから、葉全体が写真に写っていないと窓面積がどの程度なのかわかりません。そこで注意が必要なのが、商品写真に葉の根元まで写っているかどうかです。つまり苗を深植えして外葉の下部を隠してしまうと、中心部の葉は重なり合っているので下部が見えず、結果的に見えている部分は葉の先端部だけとなり、葉全部が窓のように見えます。
あるいは中心部の葉にまだら窓が出始めたときに、窓がまだ出ていない外葉を取ってしまうと、中心部の葉の下部は重なり合って見えていないことが多いので、やはり見えている葉の窓面積は非常に大きく見えます。
つまりまだら窓は写真の撮り方次第で窓面積の大きさをごまかされてしまう場合があることには注意が必要です。人気の「ナイルの一滴」も実際に栽培してみた人からは「たいしたことはない」という声をよく聞きます。ヤフオクの写真(写真⑯、⑰)を見ると、実際の「ナイルの一滴」の窓は葉先の1/3程度ですから、特別に窓が大きいわけではないことが良くわかります。鬼武者を実生すると「ナイルの一滴」によく似た個体がたくさん出ます。
⑯ 「ナイルの一滴」 2021-1-17 のヤフオク画像より引用
⑰ 「ナイルの一滴」 2021-2-14 のヤフオク画像より引用
また実生苗は小苗から中苗に移行する大きさの時(青年期)が最もダルマ葉だという点にも注意が必要です。小苗から本葉が数枚出てきたころですが、このころに出てくる、急に大きくなった葉はすごいダルマ葉であることが多いです。しかしダルマ葉というのは幼形形質ですから、成長するにつれ、次第に葉が長くなり、ダルマ葉ではなくなってしまう場合が大半です。
もちろん中には成長してもダルマ葉のままの個体もあり、それが本当のダルマ葉品種です。しかし中苗時点では、その個体が将来ダルマ葉品種になるか、一時的なダルマ葉かを見分けるのは非常に困難です。親株の写真が示されていればわかりますが、実生未繁殖の中小苗は親株がないので、買う際にはその点にも留意してください。
おおむね、ピクタ、スプレンデンス、コンプトは中苗期が最もダルマ葉で見栄えがします。一方、コレクタ、玉扇、万象は大苗になればなるほど貫禄が出てきて見栄えがします。品種群ごとに観賞の最適期=売り時が異なりますから、押さえておくと良いです。
まだら系に近い品種群としてレース系があります。セタタやボルシーなど、鋸歯の発達した仲間ですが、系統的には非常に多様です。レース系には斑紋はありませんが、H. amethystaやH. sapphaia、H. joubertii、H. violaceaなど、美しい青系統の葉色をしているものがたくさんあります。これらの育種はまだほとんど始まっていませんが、大きな可能性があると見ています。
ただ、レース系は非常に種数が多く、また似たものが多いので、よほど特徴のある個体でないと識別可能な品種にはなりません。特に交雑するとその多くは識別不能の”単なる雑種”となって最終的には捨てるしかなくなります。しかしそのような実生苗に適当な名前を付けて、いかにも
”新品種”であるかのように装って売る業者もいるので、注意が必要です。
これはレース系に限ったことではありません。例えばあるサボテン業者は斑入りを中心に実生していますが、斑が入った苗は斑入りとして高く売り、斑が入らなかった苗は似た顔の個体同士をまとめて適当な名前を付け、さも新品種のように装って売っています。
しかも同じ名前だと次第に新鮮味がなくなるので、ほとんど差がないのに次から次へと新しい名前を付けて売るということを繰り返しています。いったいいくつの名前を使っているのか、本人もわからないでしょうし、またそれらの苗の名前をラベルなしで判定することは本人もできないでしょう。
要するに例えば単にピクタとしたのでは売れないので、目新しい別名を付けて新品種の如く装って売っているのです。しかもピクタとは全く言わないので、それがピクタなのか、スプレンデンスなのか、あるいは雑種なのか全くわかりません。このような商売は消費者を誤認させる可能性が高いわけですから、不正競争防止法上の不正競争の疑いが濃厚です。
このような苗は名前が付いていたとしても、特徴のない単なる雑種か、ピクタでもまったく特徴のない個体ですから、本来は廃棄処分とすべきものです。買って繁殖してもほとんど見向きもされない上に、このような苗が販売されているということでハオルシア園芸全体の信用が低下することになります。安くても栽培場所や手間を浪費するだけですから、手を出さない方が賢明です。