グロエンワルディはごく最近発見された種だが、培養によって大量に繁殖され、良く普及している。繁殖されているのは写真①のような、小型丸葉で、窓部分に大きめの白点が散在するものだが、① H. groenewaldii MH 20-002 D=4.5

① H. groenewaldii MH 20-002 D=4.5


このような白点のある個体は産地では大変少なく、全体の10%もないと言われている。大部分は白点の全くない、しかしより大型の個体らしい。

 

ところで一般に出回っている培養苗と異なり、実生苗にはかなりの変異があるが、ほとんど知られていない。ここではその一部を紹介する。

写真②はハオルシア研究33号で紹介された‘ルリヤンマ’で、大型だが白点がたくさんあるという特異個体である。現在は直径9cmになっている。

② H. groenewaldii MH13-76 D=8 LW=2 ルリヤンマ

② H. groenewaldii MH13-76 D=8 LW=2 ルリヤンマ


写真③は密な白点の中央に緑の地が浮かび上がるという、珍しい模様の個体である。

③ H. groenewaldii MH 11-144 D=8
③ H. groenewaldii MH 11-144 D=8


写真④は白点が非常に多く、窓全体がほとんど真っ白という特異個体である。

④ H. groenewaldii MH 13-214 D=6.5

④ H. groenewaldii MH 13-214 D=6.5


サネカタイ(H. sanekatai ドリューホワイトやホワイトウイドウの原種)の白はややかすんで緑がかるが、グロエンワルディの白点は雪白と言えるくらい白い。

 

写真⑤は白点の全くない個体のうち、特に蒼緑色で大型の個体である。

⑤ H. groenewaldii MH13-135 D=6.5 LW=2
⑤ H. groenewaldii MH13-135 D=6.5 LW=2


葉の大きさから見ると‘ルリヤンマ’と同じく直径10cm近くまで大きくなると予想される。葉型や色調、窓の線などからは本種がムチカ(H. mutica)の祖先ではないかと疑わせる。

 

写真⑥は同じく白点のない個体だが、白点が太い白線の一部となっている特異個体である。

⑥ H. groenewaldii - GM 695 D=4.2
⑥ H. groenewaldii - GM 695 D=4.2


雪白の白点が白線と重なっているので、線が非常に白く太い。

 

写真⑦はH. sp. novaとして紹介された個体だが、グロエンワルディの産地に近く、おそらく、フロリブンダ(H. floribunda)からグロエンワルディに移行する中間型ではないかと思われる。

⑦ H. sp nova or H. groenewaldii D=4
⑦ H. sp nova or H. groenewaldii D=4


グロエンワルディは平均して小型で非常に成長が遅く、組織が硬く、かつ葉先が丸いという特徴があるが、これはフロリブンダから引き継いだ形質と見ることができる。

写真⑧と⑨も同じくH. sp. novaとして紹介された個体で、産地も写真⑦と同じである。

⑧ H. sp. nova or H. groenewaldii
⑧ H. sp. nova or H. groenewaldii


⑨ H. sp. nova or H. groenewaldii D=5

⑨ H. sp. nova or H. groenewaldii D=5


写真⑦、⑧、⑨の3個体は白点は全くないが、窓の複眼状微小突起がH. groenewaldiiと同じであり、産地も近いことから、むしろH. groenewaldiiの単なる別群落という可能性もある。この群落がH. groenewaldii と同一種で、単なる別群落なのか、変種なのか、あるいは独立した別種なのかは、もう少し群落のサンプル個体を集めてみないと判定できない。

 

写真⑩は‘White Widow’ x ‘Drew White’として紹介された個体だが、窓面の白点と複眼状微小突起から、おそらく‘White Widow’にグロエンワルディがかかったものと推定される。

⑩ H. mutica 'White Widow' x 'Drew White' D=6
⑩ H. mutica 'White Widow' x 'Drew White' D=6 (can be a hybrid of H. groenewaldii)