最近はクリーンベンチやオートクレーブがなくても手軽に組織培養のできるキットが売り出され、素人でも組織培養を手掛けるようになっています。ネットオークションでも寒天培地に入ったままの有名万象などが売り出されています。また海外から輸入された斑入り品種もネットで多数売り出されています。
これら組織培養で繁殖したものを購入する際に注意しなければならないことは、購入の時期です。組織培養で最も難しいのは、カルス化させることでも、カルスから芽条を分化させることでもなく、実は分化した苗をフラスコ内など無菌環境から外に出し、一般の栽培条件に慣らすことです(これを馴化といいます)。湿度100%、無菌状態の環境から大幅に湿度の低い、雑菌が充満している一般環境に出すのですから、この時に相当割合の個体(芽条)が腐死します。
腐死の割合を下げるには植物体を植えた鉢を透明なプラスチック容器などに入れ、湿度の高い環境を保つことや、その中に殺菌剤などを噴霧して雑菌を減らすなどの対策が必要ですが、それ以上に大事なのは培養容器から一般環境に出す時期、季節です。夏前、5月頃から9月いっぱいは高温多湿のため、雑菌の繁殖が旺盛になり、この時期に馴化を開始すると腐死の確立が非常に高くなります。秋から冬にかけて馴化を開始するのが最も安全です。
したがって培養苗を購入する際にも、フラスコなどから出した直後と思われる苗(未馴化苗)はこの時期を避けて購入するほうが無難です。特に高額の未馴化苗をこの期間に購入するのは危険です。大金を投じて買った苗が一か月もしないうちに腐ってしまう可能性があります。大きな苗なら大丈夫というわけでもありません。大きくても活着していない苗(根毛のある新しい根が十分出ていない苗)はこの時期に買うと根が十分出る前に腐ってしまう可能性が高いです。特に斑入りは弱いですから注意してください。
なお、寒天培地中に出た根は根毛が全くないので、通常の培養土に植えても養分を吸収できません。したがって根毛のある新しい根が出て自分で十分養分を吸収できるようになるまでは成長しません。培養中に出た根はいずれそのまま腐死しますが、新しい根が出るまで苗を用土に固定させるには役立ちます。
馴化は通常半年から1年、完了までには2年かかります。半年たてば根毛のある新しい根が出て活着しますが、新しい根が多数出て成長を再開するには1年くらいかかります。それまでは管理に細心の注意が必要です。1年以上たてば簡単に腐ることはなくなりますが、茎などはフラスコ内で成長したものなので組織が柔らかく、一般繁殖苗よりやや弱いです。さらに1年(馴化開始から2年)たてば茎も葉も一般環境で形成されたものに置き換わりますから、通常の葉挿し苗などの繁殖苗と同じ扱いでよいです。そのような苗(馴化済苗)は培養苗かどうかにあまりこだわる必要はないでしょう。
ただしハオルシアの場合、培養苗はおおむねウイルスフリーとなっている可能性が高く、葉挿し苗等より成長が良い場合が多いので、販売に当たっては培養苗である旨注記するほうが親切です。 そこで、どの程度馴化した苗かを表す基準を次のように整理しました。馴化のレベルを表示することは単に培養苗(Bio苗)と表示するよりはるかに親切です。培養苗を販売する際はできるだけどのレベルの馴化苗かを表示するようにしてください。
販売、購入いずれの場合でも少なくとも低馴化の苗、できれば高馴化レベル以上の苗が望ましいです。容器苗や未馴化の苗を購入する際は腐死のリスクを十分考慮し、特に季節を選んでください。また培養苗の輸入株の場合、もともと少ない根を検疫のためにさらに洗って送ってくるので、馴化済のものを除き、馴化レベルを1段下げて管理する必要があります。たとえば高馴化の苗は低馴化苗として、低馴化苗は未馴化苗として扱うのが妥当です。
また培養苗にはしばしば斑入りが出現しますが、斑入り苗はそうでないもの(無地苗)よりはるかに弱いですから、斑入りの培養苗も馴化レベルを1段下げて管理する必要があります。したがって馴化完了の場合を除き、輸入の斑入り培養苗なら両方の要因を合わせて馴化レベルを2段階下げ、すべて未馴化苗として管理するのが無難です。特に斑入り培養苗の輸入小苗を夏季(5月~9月)に購入するのは、大きな腐死リスクがあることには留意してください。
培養苗の斑入りはフラスコ内での芽条分化直後にはしばしば見られますが、成長に伴って消えてしまう場合が多いです。斑が消えてしまう確率は葉挿し繁殖の斑入り苗よりかなり高いですから、小苗の培養斑入り苗を買う場合はそのリスクも十分考慮してください。
これら組織培養で繁殖したものを購入する際に注意しなければならないことは、購入の時期です。組織培養で最も難しいのは、カルス化させることでも、カルスから芽条を分化させることでもなく、実は分化した苗をフラスコ内など無菌環境から外に出し、一般の栽培条件に慣らすことです(これを馴化といいます)。湿度100%、無菌状態の環境から大幅に湿度の低い、雑菌が充満している一般環境に出すのですから、この時に相当割合の個体(芽条)が腐死します。
腐死の割合を下げるには植物体を植えた鉢を透明なプラスチック容器などに入れ、湿度の高い環境を保つことや、その中に殺菌剤などを噴霧して雑菌を減らすなどの対策が必要ですが、それ以上に大事なのは培養容器から一般環境に出す時期、季節です。夏前、5月頃から9月いっぱいは高温多湿のため、雑菌の繁殖が旺盛になり、この時期に馴化を開始すると腐死の確立が非常に高くなります。秋から冬にかけて馴化を開始するのが最も安全です。
したがって培養苗を購入する際にも、フラスコなどから出した直後と思われる苗(未馴化苗)はこの時期を避けて購入するほうが無難です。特に高額の未馴化苗をこの期間に購入するのは危険です。大金を投じて買った苗が一か月もしないうちに腐ってしまう可能性があります。大きな苗なら大丈夫というわけでもありません。大きくても活着していない苗(根毛のある新しい根が十分出ていない苗)はこの時期に買うと根が十分出る前に腐ってしまう可能性が高いです。特に斑入りは弱いですから注意してください。
なお、寒天培地中に出た根は根毛が全くないので、通常の培養土に植えても養分を吸収できません。したがって根毛のある新しい根が出て自分で十分養分を吸収できるようになるまでは成長しません。培養中に出た根はいずれそのまま腐死しますが、新しい根が出るまで苗を用土に固定させるには役立ちます。
馴化は通常半年から1年、完了までには2年かかります。半年たてば根毛のある新しい根が出て活着しますが、新しい根が多数出て成長を再開するには1年くらいかかります。それまでは管理に細心の注意が必要です。1年以上たてば簡単に腐ることはなくなりますが、茎などはフラスコ内で成長したものなので組織が柔らかく、一般繁殖苗よりやや弱いです。さらに1年(馴化開始から2年)たてば茎も葉も一般環境で形成されたものに置き換わりますから、通常の葉挿し苗などの繁殖苗と同じ扱いでよいです。そのような苗(馴化済苗)は培養苗かどうかにあまりこだわる必要はないでしょう。
ただしハオルシアの場合、培養苗はおおむねウイルスフリーとなっている可能性が高く、葉挿し苗等より成長が良い場合が多いので、販売に当たっては培養苗である旨注記するほうが親切です。 そこで、どの程度馴化した苗かを表す基準を次のように整理しました。馴化のレベルを表示することは単に培養苗(Bio苗)と表示するよりはるかに親切です。培養苗を販売する際はできるだけどのレベルの馴化苗かを表示するようにしてください。
販売、購入いずれの場合でも少なくとも低馴化の苗、できれば高馴化レベル以上の苗が望ましいです。容器苗や未馴化の苗を購入する際は腐死のリスクを十分考慮し、特に季節を選んでください。また培養苗の輸入株の場合、もともと少ない根を検疫のためにさらに洗って送ってくるので、馴化済のものを除き、馴化レベルを1段下げて管理する必要があります。たとえば高馴化の苗は低馴化苗として、低馴化苗は未馴化苗として扱うのが妥当です。
また培養苗にはしばしば斑入りが出現しますが、斑入り苗はそうでないもの(無地苗)よりはるかに弱いですから、斑入りの培養苗も馴化レベルを1段下げて管理する必要があります。したがって馴化完了の場合を除き、輸入の斑入り培養苗なら両方の要因を合わせて馴化レベルを2段階下げ、すべて未馴化苗として管理するのが無難です。特に斑入り培養苗の輸入小苗を夏季(5月~9月)に購入するのは、大きな腐死リスクがあることには留意してください。
培養苗の斑入りはフラスコ内での芽条分化直後にはしばしば見られますが、成長に伴って消えてしまう場合が多いです。斑が消えてしまう確率は葉挿し繁殖の斑入り苗よりかなり高いですから、小苗の培養斑入り苗を買う場合はそのリスクも十分考慮してください。