他のブログ(http://1911.seesaa.net/ 9/11)に名前が出てきたので、ちょっとコメント。そのブログに直接コメントを返しても良いのですが、協会のブログも盛り上げたいのでこちらに書きます。
H. fortuita n.n.
これは結構な美種で、H. decipiens とかH. joubertii とかに関連付けられていますが、基本はH. habdomadis だろうと思います。H. habdomadis にH. joubertii が浸透交雑したと見るのが最も妥当でしょう。産地はH. habdomadis の産地のSevenweekspoortから10kmほど東で(北入口からの距離)、H. joubertii の産地からは20kmほど東です。
私は産地名から仮名H. “bosluis” と呼んでいましたが、発見者のマルクスがH. fortuita と名づけたようなので、この名の方が良いでしょう。意味は聞いていませんが、たぶん発見が幸運だったと言っているので“幸運”(fortune) に関係すると推測しています。
写真はマルクスから送ってもらったものですが、冒頭のブログに産地写真のでているホームページが紹介されていますので、関心のある方はそちらを見てください。
H. fortuita GM680 Bosluiskloof
なお、H. habdomadis はH. mucronata にH. marumiana が浸透したものだろうと推測していますが、この仲間(H. mucronata, H. sakaii、H. habdomadis (H. inconfluensは別系統))は大カルーにも進出しH. devriesiiからH. fimbriata n.n. (Prince Albert Roadの未記載新種)、さらにはH. latericia やH. globosifloraになったと推定しています。(H. norteri はH. variegataの子孫(H. petrophila、H. maculat など、花の中が黄色いグループ)にH. marumianaが浸透したもので、H. globosiflora とは別系統だろうと考えています。)
H. fimbriata Prince Albert Road
H. globosifloraとH. latericia (Sutherland)の間は約150km、H. latericia とH. fimbriata (Prince Albert Road) との間は約100kmなので、これらの中間にまだこの系統の未発見の種がいくつかあるはずです。Haworthia Rivisited (Bayer 1999)130頁右下写真の植物(JDV 87-204)も、ちょっと方向はずれますがこの仲間かもしれないと見ています。
ただいずれの系統だとしても互いにもつれあって(互いに浸透交雑を繰り返しながら)進化していくので、別系統なら全く関係ないというわけではありません。念のため。
追記:H. fimbriataは初め上記のように考えていましたが、この記事のために写真や現物を良く見ていたら、どうもむしろH. semivivaとSwartbergの頂上近くで最近見つかったH. “swartbergensis” とを結ぶ中間型ではないかと思い初めました。そうだとするとH. heroldia-calitzensis-swartbergensis-fimbriata-semiviva-bolusiiと言う、窓が非常に透明で屈折率の高い系統が追跡、確認できるわけです。
なお、H. fimbriataがどちらの系統に属するか(あるいは両系統の中継種)は別にして、H. bolusii-semivivaのグループがH. blackbeardiana系に属さず、H.calitzensis(H. mucronata v. calitzdorpensis)の子孫であることは確かです。