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ハオルシアの進化に基づく進化理論をまとめてアマゾンキンドルで電子出版しました。「放散進化と進化の大循環」という日本語簡略版です。以下はその要旨です。関心がある方はキンドルでお買い求めください。34ページで500円です。英語版も近く出版する予定で準備中です。

放散進化と進化の大循環 要旨

 

A. 放散進化の仕組み

1.世界には生物多様性が特に高い特異的な地域が存在し、生物多様性のHot Spotと呼ばれている。その約半数は熱帯雨林や熱帯季節林など熱帯多雨地方に存在する。これらの地域では生物にとって良好な気候が安定して続くため、競争が激化して自然選択による選択的進化(Selective Evolution)が起こる。

 

2.ところが地中海性気候周辺の半砂漠にも多くのHot Spotがある。半砂漠では周期的に大干ばつがあり、数年にわたり雨がほとんど降らない期間が続く。大干ばつが起こるとその地域の生物の多くは死に絶え、半砂漠では植生がなくなって砂漠化する。

 

3.干ばつが終わって降雨が復活すると、生き残った生物、あるいは干ばつの起らなかった周辺地域から飛来した種子などにとって、そこは競争がほとんどない非常に良好な生育環境となり、爆発的な増殖が起こる。

 

4.爆発的な増殖では厳しい競争条件下では淘汰されて生き残れない突然変異個体も淘汰されずに生き残る。また生き残った突然変異個体同士の交配により更なる変異個体が生み出される。

 

5.変異個体の種子などの子孫が親集団(群落)から離れた場所で新しい集団(群落)を形成すると、その中には群落全体が変異個体である集団、すなわち新種や変種もできる。

 

6.この繰り返しにより、新種や変種を含む子孫集団が親集団の周囲に放射状に形成される。これが放散進化の仕組みである。

 

B. 進化パターンの種類

 

1.選択進化(Selective Evolution)はCharles Robert Darwinが提唱したものである。

好環境下で生物の繁殖により競争が激しくなって自然選択が起こり、環境によりよく適合したものが生き残ることにより進化が起こるとしている。

熱帯雨林など、気候的に好条件で混んだニッチェ条件下での進化様式である。

 

2.放散進化(Radiative Evolution)は林雅彦が提唱したものである。

半砂漠で干ばつ後に降雨が回復すると、競争の少ない好適条件下で爆発的増殖が起こる。

 競争の少ない好適条件下では、中立的突然変異や不利な突然変異個体も生き残りそれらがさらに相互交配することで集団中に変異が増幅される。それらの突然変異個体が母集団から新しい集団を分離形成すると変異が固定されて新種となる。

気候的に好条件で空いたニッチェ下での進化様式である。

 

3.耐化進化(Tolerant Evolution)は浅間一男の成長遅滞説を林が再定義したものである。

 成長遅滞説では気候の継続的寒冷化など、気候環境が悪化すると成長が遅滞して形態の矮小化、融合化などが生じ、これが獲得形質の遺伝によって固定されて進化が起こるとした。

 

 しかし獲得形質の遺伝など持ち出さなくても、寒冷化など成長の遅滞により発現しなくなる形質は世代交代が進むと分子時計の原理によりその遺伝子は次第に壊れていく。洞窟のめくら昆虫などのように、やがてその形質は遺伝的に集団から失われる。

 気候の長期的寒冷化や高山帯など、気候的に厳しいニッチェ下での進化様式である。

 

C.進化の大循環

1.どの進化パターンが起こるかは地域の気候条件と選択圧条件の組み合わせによる。

・気候条件が良好で競争が激しければ選択的進化が起こる。                                  

   ・気候条件が良好で競争圧が低ければ放散進化が起こる。                                      

   ・気候条件が厳しくて競争圧が低ければ耐化進化が起こる。

   ・気候条件が厳しくて競争も激しいと多くの種が絶滅する。                                  

 

2.気候条件の変化と競争条件の変化には時間的ずれがあり、進化パターンは非可逆的に遷移するので、次の図のように進化パターンの大循環が生じる。


  


3.進化の三つのパターンを時間軸で整理すると次のようになる。
       

 

形態が急速に変化するのは短い放散進化の期間中であり、選択進化や耐化進化では変化は非常にゆっくりと起こる。これはエルドリッジとグールドの断続平衡説(1972)を説明する。

 

D.社会ダーウィニズムに対する科学的批判

 

1.ダーウィンの自然選択説は適者生存、弱肉強食、優勝劣敗といった原理が進化の絶対的原動力だという思想を生み、社会ダーウィニズムや優生学などとなって白人社会の植民地主義や帝国主義的支配、あるいはヒトラーの人種差別を正当化するために使われた。

 今日でも身障者施設の相模原やまゆり園の大量殺傷事件のように、一部の人に限らず、社会の底流として社会ダーウィニズムの優勝劣敗・弱者排除思想は色濃く残っている。

 

2.しかし放散進化理論および進化の大循環説により、社会ダーウィニズムに対する科学的批判が次の表のようにまとめられる。

 

 

最近の中国の培養苗は、量は培養だから当然としても、質も相当上がっています。特に斑入りを作る技術を確立したようで、多くの名品の斑入りを大量生産しています。多くの名前は中国名ですが、写真を見ると元品種はすぐわかります。

 

たとえばネオン錦はブラックオブト錦、氷灯や孔明燈は紫オブト、水中月や水晶灯は水晶オブトが元品種です。紫オブトや水晶オブトにはたくさんのクロンとクロン名がありますが、ラベルなしでは見分けがつきませんので品種としては同一品種です。一般に斑入りになると葉が細くなるのでわかりにくいですが、青個体の写真を見ると氷灯などが紫オブトの1クロン(=紫オブトそのもの)であることは明らかです。

 

また玉扇万象類も非常に多くの名品の単品大苗や小苗セットが売られており、コレクタ錦も大量に安価で売られ始めています。また上条氏の名品「クラック」も「緑の妖精」という名で売られ、先週106500円で落札されています。大きさは外葉込みで7~8cmありました。このときは完成写真として上条氏のヤフオク出品時の写真がそのまま使われていました。(現在ではさすがに他人のヤフオク写真をそのまま使うことはしていないようです。)

 

詳しい人からの情報ではこれらの苗を売っているのは中国人の留学生で、ヤフオクで何か問題が起こると別の留学生に変えて新しいIDで販売するようです。その結果、商品は同じなのに出品者はしばしば変わります。また根の状態から見て温室内の肥沃な畑で地植えされているようで、半端ない量のオブト錦が生産されており、この攻勢は当分続くでしょう。したがって国内生産のオブト錦やその他の斑入り、玉扇、万象、コレクタやその他の交配名品等は価格と品質、量の各面で太刀打ちできない状況です。

 

このような状況からオブツーサ錦はもちろん、他のハオルシアもそれに伴って大幅な値下がりが起こっています。消費者にとって価格が下がるのは歓迎だとしても、一方では自分のコレクションの価値が下がり、繁殖品や余剰品がほとんど売れないという事態になります。業者にとっても同様です。そして最も大きな被害を受けるのは育種家です。

 

上条氏の「クラック」のように、日本で最近育成された名品も中国で順次培養され、大量に生産されて安価に輸出されてくるのは時間の問題と見られます。人気であればあるだけ、価格が高ければ高いだけ、その危険性は高まります。中国では国内の趣味家市場が育っておらず、景気は日本以上に悪いですから、中国国内で売らずに日本のヤフオクがメインの販売場所のようです。

 

ハオルシアは日本が開発した新しい園芸品種です。また特に紫オブト、ブラックオブト、水晶オブトは日本で育成された品種で、原産地にこのような種や品種はありません。中国などではこれら品種を基にして非常に多くのオブト錦が作られており、多くはラベルなしでは区別がつきません。

 

一般に培養苗のフラスコから出したばかりの小苗の原価は品種を問わず110円程度です。これを畑などに植えて養生し、本葉を出させて輸出する時の価格はおおむね100円前後です。この様な価格でも野菜を作るのと比べれば、作物のサイズや必要土地面積の点からはるかに効率的に金儲けできますから、中国では多くの人が参入して来ています。

 

培養苗はもともと軟質で、かつ中国では肥沃な畑で直植えして肥培していますから、これを一般的な温室環境に慣らすのは大変です。特に斑入り苗を暑い季節に輸入すると腐る苗が多く出ます。一般の趣味家の方は日本の輸入業者が温室環境に慣らして発根させた苗を購入するのが安全です。

 

 

ところでこのままではハオルシアの生産、販売の主導権は完全に中国のものになってしまい、日本は彼らの商売のネタになる優良品種や新品種を生産するだけの下請け的存在になってしまいます。優良品種や新品種を生産するには長い時間と労力が必要ですが、現状では育成者自身は開発者利益をほとんど回収できず、利益はもっぱら中国の培養業者や輸出業者が独占しています。

 

もちろん育成者は新品種をしばらく市場で高く販売できますが、新品種開発にかかった時間と労力を回収できるかどうかは疑問です。まったく期待するような苗が出来ないという場合の方が多いでしょう。また首尾よく優良品種ができてある程度の売り上げが得られたとしても、大部分の場合は大きな利益とはならず、その内に培養苗が出まわって価格が大幅に下がることになります。

 

この問題はイチゴやブドウなど、日本の農産優良品種が勝手に海外(特に中国と韓国)に持ち出され、そこで大量繁殖・販売されて日本に大損害を与えている問題と同じ構図です。

農水省はその対策として品種登録を推進する意向ですが、品種登録は登録まで5年近くかかり、費用も1件当たり50万円もかかります。これではおいそれと登録申請もできません。(商標登録なら半年で登録でき、費用も1件6万円弱です。) また品種登録や商標登録は国ごとに登録が必要(属地主義)です。このために海外での品種登録がされなかったり、遅れた場合には流出品種が大量に栽培、販売されても手の打ちようがないと言われています。

 

日本産農業優良品種の海外流出問題の根本的な解決法は生物多様性条約とそれに基づく遺伝資源利用の利益配分を定めた名古屋議定書です。生物多様性条約は汎世界的な国際条約(アメリカは未加盟)なのでその適用には何の登録手続きも不要です。しかし条約の批准国とその国民は条約の各規定に従う義務があります。中国は2016年、日本と韓国は2017年に名古屋議定書を批准しています。

 

まず生物多様性条約ではその対象に熱帯などの微生物や植物だけでなく、農畜産業における栽培種や飼育種も遺伝資源に含まれます(2 用語)。また組織培養などバイオテクノロジーを使った利用も対象です。したがってハオルシアの優良品種や新品種も当然生物多様性条約の対象であり、バイオテクノロジーの一つである組織培養による繁殖もこの条約の対象になります。

 

したがって日本の農畜産業の優良品種も遺伝資源利用の利益配分を定めた名古屋議定書の対象になります。そして名古屋議定書には遺伝資源を繁殖したり、育種素材として利用する場合には当事者間の利益配分に関する合意(mutually agreed terms=MAT)が必要、という例外なしの規定(名古屋議定書第5条1)があります。

 

すなわち日本のハオルシア優良品種や新品種を海外に持ち出して培養したり、それを基に新品種を育成するには当事者間で利益配分に関する合意(MAT)が必要です。勝手に繁殖したり育種素材として利用する相手には裁判で損害賠償請求をすることができます。

 

現在オブト錦等を組織培養で生産している者は当事者間のMAT契約なしで日本の遺伝資源を利用していますから損害賠償請求の対象になります。そしてその苗を輸入販売しているヤフオクの販売者もそのほう助者ですから不法行為の共同責任者です。裁判で負ければ損害賠償はもちろん、不法行為を働いたとして国外追放の可能性もあります。まずは当事者にその点を指摘して攻勢の緩和を図る予定です。

 

さらにこれら外形類似のオブト錦類を相違の説明なしで別名販売している場合は不正競争防止法の誤認惹起(2120)に該当する可能性が高いです。不正競争防止法の誤認惹起は商品の真贋にかかわらず、誤認させるような表示が対象です。

 

一部の育種家はハオルシア協会が優良品種の一部を勝手に商標登録したことに腹をたてているようですが、協会ブログ(20182)に案内しているように、育成者には優先規定がもうけられています。また育成者が希望する場合には協会が取得した商標権を原価(申請料+登録料+移転費用)で取得できます。その他の手数料などはかかりません。

 

商標登録されるとその名前を使えなくなると思っている方が多いようですが、育成者を含め当会会員であれば原則無料で使えますし、会員でなくても申請すればやはり原則無料で使えます。使用条件は正名で表示するなど、国際栽培植物命名規約に従った表示方法とすることだけです。国際栽培植物命名規約は園芸植物表示の唯一の国際基準で、これに従うことは園芸界の常識です。

 

商標権はもっとも簡便に優良品種を保護する手段ですから、まずは商標権で保護しつつ、生物多様性条約を利用してより安定した、汎世界的に優良品種を保護できる制度を確立していきたいと考えています。

 

しかし育種家の中には品種登録や商標登録に消極的な人もおり、国の優良遺伝資源を守るという観点から優良品種は育種家の意思に関係なく品種登録や商標登録をすべきだと考えています。また品種登録や商標登録では登録後に市場を監視し、権利侵害を発見したら侵害者を特定して裁判にかけるなどの手続きが必要で、これを育種家個人が行うのはほとんど不可能です。

 

したがって国の優良遺伝資源を守るためには国や行政機関等が、育種家の意向には関係なく育種家個人に代わり品種登録や商標登録を行い、市場を監視し、必要なら裁判手続きをするといったシステムが必要だと考えています。

 

又サボテン業者の団体であるカクタス専門家連盟もハオルシアの商標登録に大反対です。その理由は商標登録で品種名の統一が進むと、他店の人気商品に勝手に別名を付けてあたかも自店の新品種であるかのように装って売りつけるという悪質商法が出来なくなるからです。また単にハオルシア協会に主導権を握られたくないという、まったく目先の利益しか考えないためです。

 

彼らが商標登録に反対している内に、中国や韓国などで培養が進んでレベルも上がり、現在ではハオルシアネット市場の半分以上が海外勢に席巻されてしまっています。サボテン業者らが一番の金づるであったハオルシア市場をほとんど失ってしまい、苦境に陥っているのは自業自得としか言えません。

 

さて現在のハオルシア市場における最人気グループはオブツーサ錦で、素人目に見ても非常に美しいです。しかも前述のようにこれが培養で大量生産され、大量にかつ非常に安価に市場に供給され始めているので、これらがネット市場だけでなく卸市場を通じてホームセンターや街の花屋、園芸店の店頭に並ぶようになるのは目に見えています。

 

実際、これら中国産オブト錦の攻勢はすさまじく、大量に出品されるので毎週価格が下がっています。当初は片斑の赤斑が少し混じったセット苗(1030本セット)で1万円以上していたものが、数週間でより多くの赤斑の入った、しかも片斑ではなく総柄やノリ斑のたくさん入ったセットが以前の半値程度で落札されるようになっています。畑に地植えして大量生産しているのですから今後もこの攻勢は続くでしょう。

 

ところで一般の愛好家がこれらのオブト錦を入手する機会は

ヤフオクなどで中国系販売者から直接買う。

中国苗を養生して販売する国内専門業者や①苗を転売する趣味家から買う。

ホームセンターや園芸店の店頭に並ぶのを待ってから買う。

3回あります。①と②の時間差は半年から1年、②と③の時間差は1年から2年と見込まれます。①と③の間でも2年くらいでしょう。

 

①のセット苗が単価は一番安いですが、夏季に斑入り苗を買うのは腐死の危険性が高いです。また毎週のように価格が下がり、かつ品質は良くなりますから、うまく買うタイミングが難しいです。基本的に待っていれば価格はどんどん下がりますから価格が十分下がってから買うのが得策です。

 

②の苗は国内の温室で養生済ですから安全性は高く、①との時間差も短いですが価格はその分高いです。また中国苗と販売名の違う場合があり、よく似た①の中国苗と同じかどうか、その相違については注意が必要です。①苗を転売する趣味家はあまり養生がうまく行っておらず、苗の状態もきれいではない場合が多いです。

 

遅くとも2年待てば①の苗は卸市場を経てホームセンターや園芸店の店頭に出てくると見込まれますから、そこで買うのが最も安価にかつ安全に入手する方法です。ただしホームセンターなどでも最初は結構高額で販売されるでしょうから、ここでも価格が安定するまで少し待って買う方がよいでしょう。

 

前述のように、培養苗の輸入原価はおおむね1100円程度ですから、これを養生して普通の温室環境に慣らしても卸市場で1200300円程度で出荷できます。そうするとホームセンターや園芸店の店頭では1鉢500円から千円程度で販売されると見込まれます。

 

①や②で売られているオブト錦は赤や黄色あるいは白い透明な窓を持つ非常にきれいでかつ丈夫な園芸植物ですから、これがホームセンターなどの店頭で安価に販売されればこれまでのハオルシア愛好家だけでなく、一般の多肉植物愛好家や園芸愛好家全般の目に留まり、ハオルシア愛好家人口が爆発的に増えると予想しています。

 

また最近のオブツーサ錦愛好家は温室を持たず、人工照明の室内栽培で育てている場合が多いようです。実際、オブツーサは弱光線で多少徒長気味の方が透明感が強くなってきれいです。またオブツーサは多少光線不足でもあまりひどく徒長しないという特性があります。これからは人工照明の室内栽培が主流となり、オブツーサ錦の愛好家が爆発的に増えるとやがては以前のセントポーリアのような、室内園芸の女王的存在になると見ています。

 

そしてこれからの話が大事ですが、ハオルシアにはオブト錦以外にもほとんど、あるいはまったく知られていない原種や優良個体が多数あり、さらにまだ試されていない交配組み合わせも無数にあります。これらには極めて大きな育種可能性があることは確実です。そして原種の優良個体や交配新品種はおそらくまだほとんど海外に持ち出されていないでしょうから、海外の培養苗が国内市場に出回る前にまずは国内で商標登録して海外培養苗で日本の国内市場を席巻されないよう対策を準備する必要があります。

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