species

Zuurergのオブト類

 Zuurberg(ズールベルグ)は東ケープ州の中心都市、Port Elizabeth(ポートエリザベス)の北約20kmに東西に延びる山地で、ここより内陸側は大カルーになります。ここはハオルシアの放散的種分化の中心地の一つです。他の放散中心地にはZuurbergすぐ南のKlein Winterhoek山脈やBaviaanskloofからHankeyにかけての一帯などがあります。ZuurbergではH. lapisからObtusa 群が、H. zantnerianaからCymbiformis群が進化し、放散したと推定されます。


 したがってZuurbergにはややずんぐり型葉先で、窓の大きな原始的Obtusa類がいくつかあり、とりあえず産地ごとに名前を付けてあります。H. calva(裸の。Wilgerfontein)H. fluffa(微毛のある。De PlaatH. nubila(曇った。Vygeboomfontein)H. indica (紫がかった青色の。Oudekraalなどです。


これらはいずれも一般的な ‟オブツーサ”より軟質で葉先はやや尖っていますが、原始的な種群によくみられるように、変異幅が大きく、なかには非常に美しい個体もあります。上記いずれの種にも素晴らしくきれいな個体がありますが、今回はH. indicaの美麗個体をいくつか紹介します。なお、"indica" はインドとは何の関係ありません。


(1) indica 14-331-3 D=8

写真1 H. indica 14-331-3 D=8


(3)indica 12-136-4 D=9
 写真2 H. indica 12-136-3  D=6.5

(3) indica 12-136-4  D=9

写真3 H. indica 12-136-4  D=9

(4)H.indica 以前sp.nov.で紹介の個体
  写真4 H. indica 以前このブログでsp. nov. として紹介した個体。

写真(1)はH. indicaの標準よりやや暗い葉色の個体で、大きな窓と青みがかった色調の葉色が魅力的です。写真(2)はより暗色で紫がかった葉色の個体です。写真(3)は反対に明るい大きな窓の個体です。また、以前このブログ(20135月)H. gelatinaに関連してH. sp. nov. として紹介しました個体(写真4)も本種です。これらはいずれもH. indicaのどちらかというと標準的個体ですが、それでも大変きれいです。


(5)indica'アパタイト'14-331-5 D=6.5

写真5 H. indica 'アパタイト’ 14-331-5  D=6.5

(6)indica'アパタイト'14-331-5 D=6.5
 写真6 H. indica 'アパタイト’ 14-331-5  D=6.5

写真(5)は特に窓が大きく、淡い青色の美しい特異個体で、'アパタイト' (apatite)と名付けられました。アパタイトは青い色の宝石で、小さなものでは青色が薄くなってきれいな空色に見えますが、写真(5)はこれにそっくりです。まだ小さいですが、葉の半分近くが窓ですから大きくなったら素晴らしくきれいになるだろうと期待しています。写真(6)も同一個体で、光条件を変えて撮ったものです。窓が大変大きいことがよくわかります。

よく似た個体アパタイトB)がもう一つありますので、交配が楽しみです。


Dr. M. Hayashi




ハオルシア研究30号掲載品種の大判写真

ハオルシア研究30号は既に会員の方にはお手元にお届けできたかと思います。

ニュースでお知らせしましたように、30号掲載品種の内、透明窓の品種を中心にいくつかを再度こちらに掲載します。
写真の角度やトリミングが30号の誌面とは異なるものもあります。
特に透明窓の品種はパソコンモニターなどの透過光画像で見ると、印刷された写真よりずっときれいに見えますので、その美しさを改めてお楽しみください。

画像はサムネイルとなっております。クリックすると原寸で(大きく)表示します。


01 ‘白衣’ (山本 20 x 9-14)  実方氏
 ‘白衣’ (山本 20 x 9-14)  実方氏 D=7, LW=2.3

02 万象錦 ‘希望の星’ 中島氏
 万象錦 ‘希望の星’ 中島氏

03 ‘Cantaloupe Island‘  押尾氏 D=9 LW=3
 ‘Cantaloupe Island‘  押尾氏 D=9 LW=3

04 ‘雲頂’  王氏
 ‘雲頂’  王氏

05 H. livida 土屋氏
  H. livida 土屋氏  日本ハオルシア大賞 2014 総合 5位 

06 ’虹児’  林
 '虹児`A.  林 D=10

07 ’水宝玉’ 馬地氏
 ’水宝玉’ 馬地氏

08 ’桜水晶’ 馬地氏
 ’桜水晶’ 馬地氏

09 H. amethysta ’利休鼠’ 林
 H. amethysta ’利休鼠’ 林

10  ‘新雪絵巻’ 萩原氏 土屋氏作出
  ‘新雪絵巻’ 萩原氏 土屋氏作出

11 H. tomei 北村氏
 H. tomei 北村氏

12. H. specksii ‘氷刀’ 岩田氏
 H. specksii ‘氷刀’ 岩田氏



新年のご挨拶 と ‘銀角’物語

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

昨年は国際園芸学会からハオルシアの国際栽培品種登録機関に指定されるという、大きな出来事がありました。世界にはランやバラなど70余の園芸植物群について、その品種名を世界的に統一するための中心機関として国際栽培品種登録機関が指定されていますが、日本の組織がこれに指定されたのは日本では初めてです。

その組織が品種名登録活動を停止したり、解散したりしない限り、指定はほぼ半永久的ですから、これにより、今後とも日本がハオルシア園芸の世界的中心であることが確立されることになります。

 

加えて昨年は名古屋議定書が発効し(日本は批准準備中)、農園芸品種を含む遺伝資源の利用とその利用から生じる利益の配分に世界的なルールが確立されました。

ただし、その基本ルールは名古屋議定書ではなく、1993年発効の生物多様性条約(CBD)によって既に確立されています(日本初め世界193カ国が批准。ただしアメリカは未批准)。つまり名古屋議定書の批准を待たなくても、すでにCBDによって遺伝資源を勝手に使ってはいけないことが国際的に定められているわけです。

この基本ルールはまだ世界的に適用例が少なく、具体的取り扱いは今後様々な事例により確立されていくものと思われますが、基本ルールが20年以上前に確立されていることは十分認識する必要があります。

 

さて、お待たせしておりますハオルシア研究30号ですが、まもなく発行の予定です。今月半ば過ぎにはお手元に届けられると思います。品評会の優秀作品のほか、最近大人気のオブツーサ類について新しい分類や品種を紹介しています。

 

昨年のハオルシアフェアスタ(2014)で、新規に入会申し込みをされた方の内、連絡先のわからない方が数名いらっしゃいます。事務局よりまったく連絡がない方は記録漏れの可能性がありますので、至急事務局(info@haworthia.net またはFAX0533-75-6234)までご連絡ください。

 

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文章ばかりでは面白くありませんから、写真付きでニュースを一つご紹介します。


H. 'Gintsuno' D=8
 Photo_1 H. 'Gintsuno' D=8

‘銀角’(photo_)はいわゆるAstrolobaの最大型で、かつ最美種です。この植物は50年以上前に平尾博氏が南アフリカから輸入したもので、全く未繁殖であったものを林が胴切りして譲ってもらったものです。その後何人かの人の手に渡り、名前も‘銀角’(ぎんつの)と命名されて多少普及しましたが、成長は非常に遅く、胴切りしても仔は1本か2本出るだけと言う状態ですから、まだまだ希少種です。加えて近縁のマキシマグループを合わせても最美種の一つであることは間違いないので、もし今新しく新種として輸入されたなら、‘天使の涙’クラス(以上?)の価格になったであろうと推定できます。

H. hallii type KG280-69(MH81-120) D=6.5
 Photo_2 H. (Astroloba) hallii  type KG380-69 (MH81-120) D=6.5

H. hallii  Koup MH 03-307-1  D=5
 Photo_3 H. hallii Koup MH03-307-1

H. hallii  Koup
 Photo_4 H. hallii Koup

 

さてそんな大型美種ですが、これまでは産地が判らず、また世界のどこのコレクションにもない植物なので、おそらくH.Astrolobahallii の自然雑種ではないかと推定されていました。H. hallii は‘銀角’を除くといわゆるアストロロバの最大型で、ブルラータより若干大きめです。photo_2H. halliiのタイプ植物(Reineckeの)ですが、これは白肌有白点の特異個体で、タイプ産地(Koup)の一般的なH. halliiphoto_34の通りです。


H. hallii Vleiland 1
 Photo_5 H. hallii Vleiland 1

H. halliiの産地はこれまでタイプ産地(Koup)しか知られていませんでしたが、昨年初めにそこから約30km南西のVleilandで第2の産地が見つかりました(photo_)。この産地のニュースは初め、これが‘銀角’の産地かと期待されたのですが、実物や写真でそれよりかなり小さな植物のH. halliiであることが判明した次第です。


Astroloba marxii wild 1

 Photo_6 Astroloba marxii wild 1

Astroloba marxii nn
 Astroloba marxii nn

ところが昨年秋にde Vreiesから非常に大きなアストロロバが見つかったと連絡があり、写真を心待ちにしていたところ、暮れになって写真が届きました。それがphoto_67で、まぎれもなく‘銀角’と同種だと判断されます。特にphoto_7の右側の個体は青白い肌色と言い、白い大きな結節と言い、‘銀角’そっくりです。この植物はMarxによって発見されたので、現地ではAstroloba marxiiと呼ばれています。

いわゆるAstrorobaは通常、藪の中に藪の枝と絡まって生え、花だけが藪の外に出ることが多いです。枝が藪の外まで伸びると動物に食べられて芯どめされるためです。したがって特異個体があったとしてもその個体がよほど小さな株でない限り、その個体全部が掘り取られてしまうことはほとんどないと見て良いです。この産地にはいくつか白肌の別個体がありますから、‘銀角’もこれら白肌個体のうちのどれか一つである可能性が高いでしょう。

 

なお、Astrolobaを「いわゆる」と表記するのは、この仲間は明らかにMaximaグループの子孫であると見ているからです。要するにMaxima類の長茎型に過ぎないと言うわけです(H. attenuata類に対するH. coarctata-reinwardtii 類と同じ関係)。だとすると、分類群の末端グループだけを切り離して別属にするというのはまったく系統分類に反します。

花弁の先端が2唇形か放射形かは単に花弁の先端が長いかどうかの違いによるものです。Astrolobaの場合は花筒の裂開部から先が短いために2唇形になっていないと言うだけのことで、Astrolobaのその他の花の特徴はまったくMaximaグループと同じです。花の特徴であれ、栄養体の特徴であれ、単に基準を作って(選んで)区分するのではなく、そのグループがどのグループから進化してきたのか注意しないと分類を誤ることになります。


Dr. M. Hayashi



H. fortuita n.n.

 他のブログ(http://1911.seesaa.net/ 9/11)に名前が出てきたので、ちょっとコメント。そのブログに直接コメントを返しても良いのですが、協会のブログも盛り上げたいのでこちらに書きます。

 

H. fortuita n.n.

これは結構な美種で、H. decipiens とかH. joubertii とかに関連付けられていますが、基本はH. habdomadis だろうと思います。H. habdomadis H. joubertii が浸透交雑したと見るのが最も妥当でしょう。産地はH. habdomadis の産地のSevenweekspoortから10kmほど東で(北入口からの距離)、H. joubertii の産地からは20kmほど東です。

私は産地名から仮名H. “bosluis” と呼んでいましたが、発見者のマルクスがH. fortuita と名づけたようなので、この名の方が良いでしょう。意味は聞いていませんが、たぶん発見が幸運だったと言っているので“幸運”(fortune) に関係すると推測しています。

写真はマルクスから送ってもらったものですが、冒頭のブログに産地写真のでているホームページが紹介されていますので、関心のある方はそちらを見てください。


H. fortuita GM680 Bosluiskloof

H. fortuita GM680 Bosluiskloof

なお、H. habdomadis H. mucronata H. marumiana が浸透したものだろうと推測していますが、この仲間(H. mucronata, H. sakaiiH. habdomadis H. inconfluensは別系統))は大カルーにも進出しH. devriesiiからH. fimbriata n.n. Prince Albert Roadの未記載新種)、さらにはH. latericia H. globosifloraになったと推定しています。(H. norteri H. variegataの子孫(H. petrophilaH. maculat など、花の中が黄色いグループ)にH. marumianaが浸透したもので、H. globosiflora とは別系統だろうと考えています。)


H. fimbriata Prince Albert Road
H. fimbriata Prince Albert Road


H. globosifloraH. latericia (Sutherland)の間は約150kmH. latericia H. fimbriata Prince Albert Road との間は約100kmなので、これらの中間にまだこの系統の未発見の種がいくつかあるはずです。Haworthia Rivisited Bayer 1999130頁右下写真の植物(JDV 87-204)も、ちょっと方向はずれますがこの仲間かもしれないと見ています。

ただいずれの系統だとしても互いにもつれあって(互いに浸透交雑を繰り返しながら)進化していくので、別系統なら全く関係ないというわけではありません。念のため。

 

追記:H. fimbriataは初め上記のように考えていましたが、この記事のために写真や現物を良く見ていたら、どうもむしろH. semivivaSwartbergの頂上近くで最近見つかったH. “swartbergensis” とを結ぶ中間型ではないかと思い初めました。そうだとするとH. heroldiacalitzensisswartbergensisfimbriatasemivivabolusiiと言う、窓が非常に透明で屈折率の高い系統が追跡、確認できるわけです。

なお、H. fimbriataがどちらの系統に属するか(あるいは両系統の中継種)は別にして、H. bolusii-semivivaのグループがH. blackbeardiana系に属さず、H.calitzensisH. mucronata v. calitzdorpensis)の子孫であることは確かです。


Dr. M. Hayashi

2013年に日本で出版されたハオルシア品種名

『ハオルシア品種名総覧』は2012年までに日本国内で発表された品種名のリストですが、それ以降、2013年中に日本で出版されたハオルシアの品種名を整理しました(ただしハオルシアアカデミー写真集の品種名とネット上の名前を除く)。記号などは『品種名総覧』と同じです。


 新しく品種名をつける場合などは『品種名総覧』、『ハオルシアアカデミー写真集』およびこのリストを参考にして、重複名や重命名を避けるようにしてください。なお『ハオルシアアカデミー写真集』掲載の品種名は数が膨大なため調査に時間がかかりますので、後日整理して発表します。


公式サイトのCultivarのページにリストをUPしています。

ハオルシア品種名総覧と併せてご活用ください。



2013年に日本で出版されたハオルシア品種名(PDFファイル)

*こちらからもご覧いただけます。



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☆品種等の質問はハオルシア協会会員に限定します。

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