新種紹介 追補   文 Text:林雅彦  写真 PhotoEsterhuizen

 

Esterhuizen氏からH. essieiの基準産地の追加写真が来たのでご紹介する。

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1  H. essiei  type locality  Photo by Esterhuizen

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2  H. essiei  type locality  Photo by Esterhuizen

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3  H. essiei  type locality  Photo by Esterhuizen

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4  H. essiei  type locality  Photo by Esterhuizen


また
H. gerhardiiH. minima(およびMaxima類全体=Tulista)の祖先であろうという推定に関して、花茎の特徴は必ずしも系統を反映しないことについて、Aloe属のA. spicata類とA. albifloraを例に出して説明したが、Aloe、特にその花の構造についてはあまりなじみのない方が多いかもしれない。そこで以下にHaworthia属内の事例を紹介する。

 

H. nigraH. viscosa はともに三角柱型に育つことから同じグループ(section)に入れられていたが、実は全く別グループの植物で、前者はH.tessellataに近く、後者はH. scabraに近縁であることは研究者の一致した見解である。花(花被)の色素が前者のグループでは赤で後者のグループでは蝋黄色であることも一致している。

 

H. nigraH, tessellataグループの原始的な型(H. woolleyi)との共通の祖先 (絶滅?未発見)から進化したと見られ、その原始的な型(H. eonigra n.n. Fishriver)は葉が3列ではなく5列に並ぶ。H. nigraH, tessellatarhizome (地下茎の一種) で繁殖するがH. viscosarhizomeを作らない。

 

Haworthia属には他にもう一つrhizomeを作るグループがある。すなわちLimifoliaグループである。このうちH. gideonii (nom. nud.?) はエスワティニ(旧スワジランド)の北、モザンビークとの国境の町、Komatipoortに産する小型で暗黒色の種で、H. nigraに非常によく似ている。エスワティニの南側にも同様の別種(未記載 H. limifolia v. nigra?) があり、これも同じくH. nigraそっくりである。

 

つまりLimifoliaグループはH. nigraからこれら小型暗黒色のH. limifolia様植物を経て、より明色、大型で扁平なH. limifoliaへと進化したものとみられる。H. nigraLimifoliaグループはrhizomeを作ることの他、花弁の色素もともに赤色で共通している。

 

ところでH. nigraの花茎は細く針金状で、枯れた花茎の残骸が各葉の間から突き出すさまはH. woolleyiH. viscosaとも同じである。一方、Limifoliaグループの花茎はずっと太く頑丈である。ようするに植物体が大きくなったにつれ、花茎も太くなっただけの話である。

 

またTessellataグループの内、最も原始的と思われるH. woolleyiH. schoemanii、あるいはH. venosaの花茎は細くて硬い針金状であるが、H. tessellata v. tuberculata(雷鱗)や内陸部の高次倍数体などの大型個体の花茎は太く頑丈である。

 

一方H. minimaの内、HeidelbergからMossel Bayにかけての海岸地方の小型個体の群落では花茎はH. maxima(冬の星座など)よりはるかに細く、大型のH. tessellataとほぼ同じ太さである。これが西側の内陸部に産地を広げるにつれ、植物体は大型化し、花茎もより太く頑丈になる。そしてH. minimaからH. poellnitzianaを経てH. maximaに移行するとRobustipedunculares 亜属(=Tulista)に典型的な太い花茎になる。

 

このように、花茎の太さ、頑丈さは必ずしも系統を反映しないし、同じ系統内でもその太さは大きく変わる。ただしどのような形質が系統を反映するか(しないか)は絶対的に決まっているわけではなく、系統関係を調べていく過程で相互参照的に明らかになるものである点には注意が必要である。