先週関東と関西の各複数個所で発生したハオルシアの盗難事件ですが、その後も新しい被害情報や被害が発生しています。

 まず、4月1日から2日にかけて奈良県で盗難事件があり、40本ほどのハオルシアが盗まれたようです。4月2日朝の奈良県での事件の前の犯行のようです。幸い大事なものは自宅に持って帰っていたため、被害は小さかったようです。
 4月4日から5日にかけては徳島県の有名栽培家が被害に会い、ハオルシアの優良品種(玉扇、万象、コレクサ錦)とガステリアの臥牛錦、恐竜錦などが計600本も盗まれました。ここでは自宅前の道路を隔てた畑にサボテン2棟とハオルシア1棟の温室があったのですが、ハオルシアの温室だけが被害に会っています。届け出被害額は1000万円ということですが、時価ではその数倍になるでしょう。

 さらに4月9日未明(8日深夜?)には神奈川県横須賀市の栽培家に泥棒が入り、スプレンデンス優良品種の大株など300本が盗まれました。被害額(時価換算)は3000万円を下らないでしょう。
 ここも自宅横の畑にビニールハウスが何棟もあり、サボテンや多肉植物がたくさんあったのですが、その内1棟にスプレンデンスなどの優良ハオルシアがあり、そこだけ狙われて大株はすべて盗まれてしまったそうです。自宅横でもあり、玉扇・万象優良品種の大株はあまりなかったので、狙われないと思ったそうです。


 4月に入ってからの事件を見ると、首都圏の有名栽培家などは警備を相当厳重にしてきていますので、いよいよ関西や地方の栽培家や業者にも狙いを定めてきた感じです。

 最近の被害者の多くは防犯カメラなどの設置をしていなかったようですが、防犯カメラが設置してあっても、泥棒達はそれをかいくぐって犯行に及んでいます。「うちには大したものがないので来ないだろう」とか、「こんなところまでは来ないだろう」と油断せずに、未設置の方は早急に防犯カメラや人感センサーを設置されることを強くお勧めします。

 特に監視カメラの場合は必ず無停電装置も一緒に設置してください。別系統電源の他のセンサーがあって警報が来ても、カメラが作動しないと、泥棒か犬か、誤作動かは判断できません。確認のために温室に行けば、泥棒に出くわして危ない目に合う危険性もあります。そうならないためにも、電源を切断されてもカメラが作動するよう、防犯カメラには必ず無停電装置(10万円程度からあります)を設置することをお勧めします。
 防犯カメラの設置は業者に工事を依頼する必要がありますが、自宅横や自宅近くの温室なら、ホームセンターなどで売っている簡易な警報装置がたくさんあります。多くは電池式の人感センサーで、人が一定範囲内に来ると感知して警報を鳴らすものです。警報は自宅などの少し離れた場所でも慣らすことができます。

これなら非常に安価ですし素人でもすぐ取り付けられますから、防犯装置未設定の方は至急取り付けることを強くお勧めします。警報音は自宅だけでなく、温室内でも大音量で鳴らすように設定してください。なお、人感センサーは温度差で反応するので、昼間温室内の温度が上昇するとしばしば誤作動しますが、夜間は室温の温度変化があまりないのでほとんど誤作動しません。

 最近の事件の特徴としては、防犯対策のしてあるところではセンサーなどにより発見が早かったために未遂、または軽微な被害で済んでいますが、対策のしてないところでは、徹底的に盗まれてしまっていることです。軽微な場合でも一度盗難に会うと防犯カメラなどの費用をはるかに超える被害がでます。なにより大事に育ててきた自慢の植物たちが一夜にして全部なくなるというショックが大きいです。
狙われる対象も玉扇・万象だけでなく、斑入りやスプレンデンスなど、少し人気の品種を持っていれば軒並み狙われています。狙われた場所も関西やその他の地方にまで広がってきています。早急に対策を取ってください。

 また最近の被害者の多くは温室を他人、特に外人にはほとんど見せたことがないようです。しかし地元の人にしか見せてないとしても、その地元の人から業者などに情報が伝わり、その仲間の誰かが泥棒達に意図的に情報を漏らしている可能性が高いです。あるいは○○実生などのラベルを付けて売っていれば、ラベルから誰がそれらの植物の親株をもっているか推測できます。他人にはほとんど見せたことがないとしても油断は禁物です。

 これまでの例では地元の人でさえほとんど知らないような隠れた収集家でさえ、ピンポイントで狙われ、被害に会っています。窃盗団が外国人だとすれば、ハオルシアが人気になってからここ数年でそこまで詳しい情報を彼らが単独で集められるとは思えません。必ず日本人、それも全国の栽培家を非常に良く知っている業者などの協力者がおり、情報提供しているか、ことによると指示している可能性もあります。

 特に一連の事件では最初から被害者に共通した特徴がありました。それは関西のある業者を中心とした一派と対立ないし疎遠な栽培家や業者ばかりが狙われる傾向があるということです。これら一派と親しい業者やK多肉などの愛好家団体の幹部はあまり被害に会っていません。(これら業者と親しい関西の栽培家の事件など例外もあります。またN園の事件など、犯人が日本人と思われるものは、外国人によると見られる一連の事件とは別です。) 
偶然の一致かもしれませんが、これら業者一派と特に親しいわけではない方は厳重に警戒してください。またこのような記事が出ると、これら一派と親しい人もカムフラージュのために狙われる可能性がありますから、やはり警戒が必要です。

 これまでに当会が把握している被害状況のまとめは次の通りです。

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