3月は泥棒の被害情報はありませんでしたが、4月に入り4月2日、3日と連続5件もの盗難事件が発生しました。

4月2日朝には奈良市の奈良多肉植物研究会の栽培場に泥棒が入り、玉扇36本が盗まれました。当日は富士多肉植物愛好会のセリ会に出席するために園主が前夜から不在でしたが、それを狙っての犯行と思われます。ここではガードマンを雇って毎日夜間巡回させていたのですが、朝、そのガードマンが帰った後に温室裏手の山側から侵入しています。

当日は休園日で本来無人のはずだったのですが、たまたま従業員が朝9時頃栽培場に来たところ、慌てて逃げだしたようです。この従業員が来なければ被害はさらに拡大したものと思われます。

同じ日の未明には大阪府のハオルシア有名コレクター宅に泥棒が侵入しようとした未遂事件がありました。ここでは2階の屋根に温室があったのですが、そこに新品のはしごをかけてあったのが見つかりました。さいわい何らかの事情で犯行は中断され、被害はなかったようです。

また同日早朝6時半ころに、横浜市の当会会長實方氏が警報が作動したので2階窓のカーテンを開けて温室を見たところ、見知らぬ車が温室横に止まっていたということです。誰が来たのかと思って急いで1階に降りて雨戸をあけたところ、すでに車は逃げた後だったという事件もありました。
前日外国人から電話があり、明日富士多肉植物愛好会のセリ会に参加するかと聞いてきたので、「そのつもり」と答えていたということです。おそらく留守と思って泥棒に来たのではないかと強く疑われます。實方氏が富士多肉植物愛好会のセリ会に参加する場合には朝相当早くから出かけるので、それを知っての犯行でしょう。

さらに4月3日未明には埼玉県で2件の盗難事件が発生しています。1件では温室の周囲を高いフェンスで囲ってあったのですが、泥棒は工具でそれを切断して敷地に侵入し、さらに電源を切断して温室に侵入したところ、別系統の装置から隣接する被害者宅に警報が伝えられました。被害者が温室を見に行くと、外に一人(見張り?)いたのですがすぐ逃げてしまい、さらに温室の中からすいませんと言ってもう一人泥棒が出てきたということです。捕まえようとしてもみ合ったのですが結局逃げられてしまっています。

温室内には盗品を入れるためと思われる何袋ものカバンが大きなカバンに入った状態で残されていたということです。幸い発見が早かったので抜かれた1本もそのまま残されており、被害はありませんでした。

同日未明にはやはり埼玉県内で有名ハオルシア栽培家が被害に会い、畑の中の温室から玉扇、万象の大苗約40本が盗まれたということです。

このように泥棒達の活動は全く収まる気配を見せません。幸い今回はほとんどが軽微な被害、あるいは未遂でしたが、くれぐれも警戒を怠らないようにしてください。

警戒のポイントはまず、監視の穴を作らないということです。監視カメラは高価ですので、安価な人感センサーを多数取り付け、センサーが反応したら監視カメラで確認するのが効率的です。温室の奥でも、カメラで確認すれば、人か犬かは判りますから、もし人ならすぐに警察に通報してください。(夜間温室内に知らない人がいれば、泥棒に間違いありません。)

次に監視カメラや人感センサーを設置する場合、必ず2系統以上の別電源につなぐか、あるいは無停電装置を設置してください。無停電装置があれば電源を切断されてもすぐに電源が遮断されたという警報が管理人や自宅に届きますから、監視カメラで確認の上、警察に通報してください。(無停電装置があれば電源を遮断されても監視カメラはしばらくの間は作動します。)

これまでのところ、事件は大きなイベントの前後に集中して起きています。今回は4月2日にあった中島氏の富士多肉植物愛好会のセリ会です。被害者のうち2人はこれに出席するために前夜から事件当日は不在でした。實方氏の事件も犯人が朝6時半なら實方氏はセリ会に出かけた後だろうし、その時間なら周囲から怪しまれないと考えた上での犯行だったと思われます。したがってイベントに出かける場合には、近隣の方やガードマンなどに臨時で不在時の監視や巡回を依頼することをお勧めします。

そのようなイベントに出席しない場合でも、出席する人の近場の人を狙って泥棒が「ついで」に犯行に及ぶことがあります。今回の事件の内、他の2人はそのような被害者ではないかと考えられます。自分が出席しない場合でもそのような大きなイベントがある場合は十分警戒してください。

最後に埼玉の1事件では被害者が泥棒に出くわしています。今回のような外国人と思われる組織的窃盗団の場合、泥棒は追っ手から逃げるためにナイフなどを持っている可能性が非常に高いです。今回は単に逃げられただけで済みましたが、非常に危険です。

したがって万一泥棒に出くわした場合、相手から危害を加えられることを防止するために、こちらがゴルフクラブや金属バットなどを持っていたら、先手を打ってまず2,3回、泥棒を強く殴りつけ、危害や逃走を防止するようにすることをお勧めします。(このような場合、こちらが先に殴りつけて泥棒が怪我をしてもほとんどが正当防衛になります。)

「すいません」などと言われて気を許したら、すきを見て危害を加えられる可能性があります。相手は専門的窃盗団です。気を許さず、躊躇せずに厳しく対処してください。

しかし何より温室内に泥棒を確認したらまず警察に通報です。威嚇や逮捕(取り押さえること)はそれからです。
なお泥棒ともみ合ったりしたら、どんな小さなかすり傷や打撲、打ち身、首筋を違えて痛い、などの場合でも必ず医者から「要加療」の診断書をもらって警察に届け出てください。
そうすれば事件は単なる窃盗事件ではなく、格段に重罪の強盗事件となり、警察も本格的な捜査に入ります。犯行時だけでなく、逃走時のもみ合いで怪我をさせた場合や、この件のように窃盗としては未遂でも相手に怪我をさせれば強盗事件です。