こちらでハオルシアフェスタの前の最後のブログ記事になります。

ハオルシアフェスタ2017は、4月23日(日)開催の予定です。詳細は近日中にまたお知らせします。

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H. crystallina Hayashi  'Nata de Coco' (ナタデココ)  DMH

H. crystallinaは2005年にH. rooibergensisとして輸入された群落標本(7本)をH. rooibergensisとは別種であるとして記載したものです。H. rooibergensis (写真1)より窓が大きく、鋸歯が小さく、かつ葉が硬いことが相違点です(写真2)。産地的には非常に近いようです。

写真1 H. rooibergensis
 写真-1 H.  rooibergensis 径7.5 cm

H. rooibergensisは系統的にはH. villosa (Joubertskraal, Jubertina)やH. erii (Doornkloof, East of De Rust)の子孫と推定されます。軟質で大きめの窓と繊細な鋸歯を持ち、単頭性であることなどが共通です。

写真2. H. crystallina
 写真-2 H.  crystallina  径8 cm

ところがその後H. rooibergensisやH. crystallinaとして輸入されるものの中には標準的なH. crystallinaよりさらに鋸歯が小さいものがあり、中にはほとんど全縁(鋸歯がない)ものもあります(写真3、4、5)。

写真3 H. crystallina ‛ナタデココ’'
 写真-3 H. crystallina ‘ナタデココ’ 径8.5 cm

写真4 H. crystallina ‘ナタデココ’
 写真-4 H. crystallina ‘ナタデココ’ 径 8 cm

写真5 H. crystallina ‘ナタデココ’
 写真-5 H. crystallina ‘ナタデココ’ 径 6 cm

これらがH. crystallinaとはさらに異なる新種なのか、それともH. crystallinaの群落内の個体変異に過ぎないのかは現地調査をしてみないとわかりません。別群落を形成していれば別種、同一群落内に混生していれば同一種内の個体変異ということになります。

いずれにせよ、これら鋸歯の少ない個体は標準的なH. crystallinaより葉が太く、窓が大きく透明で、かつ葉質が硬いので透明窓の屈折率が高く(この点はH. crystallinaと同じ)、非常に魅力的です。写真5の個体などはほとんどオブツーサ類のような感じです。

分類学的にH. crystallinaと同一種かどうかは別としても、少なくとも園芸的には区別されるべきだと思いますので、写真3~5のような個体群を‘ナタデココ’と呼ぶことにします。種としてはとりあえずH. crystallinaのままです。