今回の記事は、ハオルシアからは離れますが、会員の方からの寄稿を特例として掲載します。

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【島津亜矢研究―1     セイレーン】

島津亜矢という歌手は初めて彼女の歌を聞いた人を一瞬で虜にしてしまう不思議な力を持っています。ユーチューブには多くの人がそのような経験を『感動した』などのコメントとともに寄せています。彼女の歌には単に歌がうまいとか歌唱力があるとか言うだけではない、聞く人を感動させ、虜にしてしまう何か別のヒミツがあるように感じます。
しかし本当にそうなのか、たまたま彼女の「帰らんちゃよか」とか「感謝状 母へのメッセージ」など感動的な歌に対するそのようなコメントが目立っているだけではないのか、という疑問もあります。
そこで歌のうまさでは定評のある他の何人かの女性歌手と比較して、本当に島津亜矢の歌が聞く人を感動させる力を持っているのかを検証し、もしそうならどうして、あるいはどこからそのような力が生じるのか探ってみたいと思います。

この検証を記すには相当のスペースが必要ですが、島津亜矢のファンの方々が開設している掲示板やブログでは長文の投稿はあまり歓迎されないようです。また私自身がブログを持っているわけでもありません。そこで私がいつも読ませてもらっているこの場所をお借りして発表させていただくこととしました。場違いな内容にもかかわらず、掲載を快諾していただいた日本ハオルシア協会およびブログ担当者様には深くお礼申し上げます。

比較対象としたのは、歌のうまさでは天才と言われる、美空ひばりとちあきなおみ、歌唱力No.1と言われる天童よしみ、女性演歌歌手人気No.1の石川さゆり、それに島津亜矢と同じくきれいな高音に定評のある夏川りみの5人です。
これら5人に島津亜矢を加えた6人の歌に対するユーチューブのコメントを調べ、「感動(感激)した」「涙が出た」「鳥肌が立った」「痺れた」というキーワードが含まれているコメント(以下これらを感動コメント呼びます)をカウントしました。ただしコメント者が1つのコメントの中でこれらキーワードを複数記している場合でも1人1カウントとしました。
また判定が恣意的になるのを避けるため、「凄い」とか「素晴らしい」など、全体的に『感動した』という内容だと推測される場合でも、キーワードが明瞭に含まれているもの以外はカウントしていません。ただし「目から汗が・・・」とか「目が潤んできた」とかいうコメントは「涙が出た」にカウントしました。

調査時期は今年(2017年)1月上旬で、一部の追加調査は2月上旬です
調査した歌は各歌手の歌の中から視聴数の多いものを20曲以上取り上げました。持ち歌だけでなく、カバー曲やコラボ曲も含まれています。また同じ歌で複数の動画がUPされている場合はその中から最もコメント数の多い動画1つだけを対象として調査しました。
したがって例えばptereさんUPのちあきなおみの代表曲「喝采」などは460万回超も視聴されているのですが、この動画にはコメントが付けられないのでコメントが掲載されている近藤重和さんUPの動画が調査対象となっています。他にもコメントが拒否されているため、同じ曲で2番目に視聴数の多い動画を調査対象としたものがいくつかあります。
調査した歌の中から、歌手ごとに感動コメントの多い順に20曲を取り上げ、①視聴数合計(20曲の。以下同じ)、②コメント数合計、③視聴数に対するコメント割合、④感動コメント数合計、⑤感動コメント割合(%)を算出し、比較しました。なお、感動コメント数が同数の場合は②のコメント数順、さらに①の視聴数順に上位20曲を対象として調べました。曲の見落としや判定ミスもあるかも知れませんが、全体の傾向は掴めると思います。
その結果が表1です。また感動コメント数の多い上位20曲のデータは比較した歌手別に表2~7にまとめました。表2~7は表1の基礎データになりますので、別画面で表示しました。また島津亜矢に関しては感動コメントが全体に多く、感動コメント数21位以下でも視聴数100万回以上の曲がいくつもありますので、感動コメント数21位から70位までを表8(別画面)に別途まとめました。

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まず①の視聴数ですが、比較したどの歌手もおおむね同程度視聴されているといえます。もっともちあきなおみなどは代表曲「喝采」で最もたくさん視聴されている動画の460万回視聴がこの集計に含まれておらず、他にもそのような動画があるので、それらを加えるとこの6人の中では最もたくさん視聴されている計算です。
ただしYoutubeで視聴するというのはここ5年ほどの間に広まってきた観賞方法であり、美空ひばりの若いころのヒット曲でUPされていないものも多く、持ち歌が圧倒的に多いなどの事情も加えると本来的な視聴数は美空ひばりが一番多いかもしれません。
さらに島津亜矢の場合は感動コメント数の多い曲が多いので、100万回以上視聴されていてもこの集計に含まれなかった歌が4曲もあり、中には200万回に迫る歌(哀愁列車)もあるので、この表の視聴数は人気のバロメーターとしての視聴数にはなりません。

つぎに②のコメント数ですが、美空ひばりと天童よしみを除くと後の4人にはほぼ同程度のコメントが寄せられています。③の視聴数に対するコメントの割合ではちあきなおみと天童よしみがやや低く、他は同程度、およそ1万回視聴につき1件のコメントが寄せられる割合となっています。
寄せられたコメント中、どれくらい感動コメントがあったかですが、絶対数④では島津亜矢が突出していて、美空ひばりやちあきなおみに対する感動コメントの2倍ほどもあります。コメント総数に対する感動コメントの割合⑤でも2位のちあきなおみの2倍近く、美空ひばりや夏川りみの3倍近くあります。⑤の数字(%)の有意性の検定はしていませんが、母数はかなりあるのでこの差は十分有意になるでしょう。
なお、美空ひばりの感動コメント数では1位の「川の流れのように」が突出して多いですが(表2)、これはこの映像が美空ひばりの完唱した最後の収録動画であるため、それに感動して感動コメントが非常に多くなっているという事情があります。歌そのものにではなく、最後の映像ということに感動しているのですが、それを歌そのものに対する感動とふるい分けすることも難しいので、そのまますべてカウントしてあります。
ちあきなおみの「紅トンボ」も同じですが、これもそのままカウントしてあります。

これらの数字から、やはり島津亜矢が聴衆にもっとも感動を与えている歌手だということが根拠を持って言えることになります。島津亜矢は美空ひばりを超えているという指摘はすでに何人かの人が言っていますが、表1はその指摘をデータ的に裏付けるものです。
ただしこれは『感動した』というキーワードに焦点を当てた調査結果なので、例えば『心に沁みた』という語に焦点を当てればおそらくちあきなおみがもっとも高得点になり、『元気付けられた』という語群なら天童よしみがトップになるのではないかと推定しています。
とは言え、歌に『感動する』というのはおそらく歌手にとって最高の称賛の言葉ではないかと思います。その点からすれば島津亜矢が天才と言われる美空ひばりやちあきなおみを押さえて、しかも大差を付けて、聴衆に感動を与えているという事実は音楽関係者にもっと強く認識されるべきではないかと思います。

天才と言われる美空ひばりやちあきなおみは多くの聴衆を魅了して来、今でも多くの熱烈なファンがいます。しかし表1に明らかなように島津亜矢の歌がこれら天才2人をはるかに超えて聴衆に大きな感動を与えているというデータを見るとき、はやり彼女の歌には単に歌がうまいとか歌唱力があるとか言うだけでなく、何か別の隠された秘密があるのではないのかと感じざるを得ません。
次のブログ(島津亜矢研究―2)ではこの秘密を私なりの視点で探っていきます。

(次回に続きます)