10月9日早朝、大阪府の趣味家温室に泥棒が入り、温室内にあったハオルシアの苗すべてが盗まれました。恐らく1本数百万円はしたであろう万象優良品種(未命名、未繁殖)などもあったそうですが、すべて(推定約250本)盗まれたということです。被害額は5千万円はくだらないと見られます。

 この方の温室は自宅ガレージの上にあり、外からははしご等がないと入れず、かつ外人はもちろん、日本人もほとんど温室に入れてないということです。またこの日は和歌山でカクタスニシ祭りがあり、被害者はそこに出席して近くのホテルに泊まりましたので、被害を知ったのは翌日の京都大会の後、自宅に戻ってからでした。犯人は相当良くこの辺の事情を知っており、かつほとんどの人は自宅の場所も知らないのに手際よく盗みだしているところから、非常に良く下調べをしての犯行のようです。

 さらに10月12日には名古屋市の趣味家温室に泥棒が入り、玉扇、万象の親株中心に置いてあったハオルシアをすべて盗まれました。推定約400本、被害額推定1億2千万円以上と思われます。ここも未命名、未繁殖の大苗が中心で、1本数百万円はすると思われる株がいくつもあったので、大きな被害となりました。
この方も大阪府の被害者同様、ガレージの上に温室を置いてあり、外からははしご等がないと入れない状態でした。また大阪の方同様、ほとんど人には見せてないそうです。

 今回の2事件は同一犯人と思われ、これまでの犯行グループとは別の窃盗団ではないかと思われます。これまでの窃盗団は日本(恐らく東京周辺)に根城があり、月1回くらいのペースで犯行を重ねていますが、今回の2事件の犯人は短期旅行者ではないかと疑われ、帰国までの短期間に集中して犯行を重ねる恐れが高いです。特にこれまで被害にあってない趣味家で、自宅横や自宅(車庫)2階に温室があって、そのため防犯体制がほとんど取られていないような温室が狙われています。自宅近くであれば人感センサー付き防犯ベルなどで十分ですから、緊急に対策を取られることをお勧めします。

 また今回の犯人がどうやって被害者の情報を手に入れたかも疑問ですが、カクタスニシ祭りで出品物を見てその方のコレクションレベルを知り、事前に入手していた同好会名簿などの住所から現場に行ったものと思われます。最近の事件は皆自宅横などの温室が狙われており、自宅近くであるがゆえに防犯体制が手薄のところを狙われています。

 カクタスニシ祭りなど、外人バイヤーがたくさん集まるセリ会では値よく売れますが、同時に泥棒達には格好の情報収集の場となっていることにも留意してください。今回の2事件の犯人はおそらくカクタスニシ祭りで情報を収集しています。