不正表示について(1/3)、(2/3)の続きです。


 その他に不適切な表示として最近目に付くものが、全斑の出品です。写真㉜~㉞はその例の一部で、おなじくAさんの出品例です。これらは斑入り個体の下部から出た全斑の仔を切り離したと思われるもので、出品時には生きていますがせいぜい半年、長くて1年くらいの命です。親株からの養分で成長していたのですが、親株から切り離されれば、葉緑部が全くないので短期間のうちに確実に枯死します。出品者はもちろんそれがわかっていて出品しているのでしょうが、これは本来は商品ではなく、一般に捨てられていたものです。

㉜オブツーサ系全斑-オブツーサ錦ゴールド群生
㉜オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

㉝オブツーサ系全斑-オブツーサ錦ダルマ葉
㉝オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

㉞ オブツーサ系全斑-オブツーサ錦だるまタイプ
㉞オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

 全斑でも中心部の葉の内部に葉緑があってそれで成長する黄金コレクサや葉裏に筋状に葉緑がある金閣寺(宝草錦全斑)、サラダ記念日(京の華錦全斑)などの品種もありますが、中心部にも葉裏にも全く葉緑がない場合は確実に枯死します。A さん以外にも全斑に近いものを出品している人が複数いますが、中心部に葉緑が全くない場合は近い将来枯死する可能性がかなり高く、販売するとしても必ず断り書きが必要です。

 反対に斑が全く確認できない仔株でも、斑入り株から出た仔ということでxx錦と表示して出品している例も時々あります。これは不適切というより不正表示(虚偽表示)になります。この場合も成長に従って斑が現われたり、仔に斑が出たりすることもありますが、出品時に斑が確認できない場合は、表示として「xx錦の仔」、説明に「現時点で斑は確認できません。」などと記すべきです。(良心的な出品者はすでにその旨表示しています。)

 その他の不適切表示として商品名(タイトル)に商品とは関係のない名前や文字列を入れるものがあります。これはヤフオクのガイドラインでも禁止されています。

 例えば『ハオルチア 黒水晶 オブツーサ ハオルシア 水晶』とか、『ハオルチア 緑水晶 カキ仔苗 ハオルシア オブツーサ水晶A』、あるいは『ハオルチア 緑水晶 ハオルシア オブツーサ黒水晶 水晶』などと商品名を表示して出品する人(同一人)がいます。 また別人で『オブツーサ ハオルチア リメイク缶 水晶』と表示して出品している人もいます。

 しかしこれらはすべて「水晶オブト」とは無関係と思われます。いずれも最後”水晶”という表示がありますが、この表示は商品があたかも有名な「水晶オブト」(略称『水晶』)と何か関係があるかのような誤認を招き、まさに優良誤認表示の典型例です。本当に「水晶オブト」の実生や交配などなら、このような紛らわしい表示ではなく、「水晶オブト実生」、あるいは「水晶オブト交配」などと正しく表示すべきです。

 同様に『ハオルチア コレクタ アロワナ系』と表示してジュピターの実生を売る関東の大手サボテン業者がいます。「アロワナ」は親クローンも実生苗も全く流通していませんし、その兄弟も1株しかありません。この業者は同じ様な表示でこれまで4点の商品をヤフオクで売っていますが、これら商品は「アロワナ」とは全く無関係です。「アロワナ」の評価の高さを利用した優良誤認表示の典型例ですが、これは多少白線が多い大型万象だというだけで、全く無関係な万象を『ドラゴン系』とか「白妙系」とか表示して売るのと同じです。この場合、売り主は専門業者ですから、そのあたりの事情はよくわかっているうえで、あえてこのようなごまかし表示をしていると思われ、悪質性が高いです。

 さらに例えば万象のまだ親葉の出ていない実生小苗に名前を付けて出品する人がいます。親葉が出ていないので、まだどんなものになるかわからないのに、名前を付ければ売れるとして出品しているわけです。新しい名前で出品されていて親株の写真がない場合は、このような場合がありますから、取引しない方が安全です。

 なお多数の商品を出品している場合は経歴や規模にかかわらず、特定商取引法上の事業者です。法律上、事業者とは「営利の意思を持って反復継続して取引を行う者」と規定されており、オークションに毎月多数の商品(多肉植物等)を出品している者はすべて事業者です。一般的基準は消費者庁の『インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン』で解説されていますが、販売業者(事業者)に該当するかどうかは個別に判断されます。ヤフオクで出品マスターとしてランク(ブロンズ、シルバー、ゴールド等)されているハイレベル出品者は上記一般的基準にかかわらず、事業者と判定されるでしょう。素人であっても事業者ならば誇大広告や優良誤認表示は当然禁止です。

 また、事業者でない素人の出品なら商品名が誤っていても良いわけではありませんし、売り手責任を回避できるわけでもありません。不正表示や誤った表示で商品を売って買主に損害を与えれば、事業者でなくても売主には当然損害賠償義務が生じます。紛らわしい表示で消費者(買主)をだます意図があった場合は詐欺罪にもなります。

 「写真を見て納得した方のみ入札してください」と書いてあっても同じです。写真を掲載すれば名前(商品名)は適当(不正)でも良いというわけでは全くありません。写真を見て納得して購入(落札)したのだから、すべて落札者の自己責任だというわけではなく、写真を掲載していても不正表示で商品を売れば、誤認(誤解)は買主ではなく売主の責任となります。枯死する可能性の高い全斑個体を必要な説明をせずに売った場合も同じです。

 したがって不正表示商品(重要事項の不告知を含む)を買ってしまった場合は泣き寝入りすることなく、返品や代金返却を請求し、あるいはヤフオクなどのオークション運営者や各地の消費生活センターに苦情を申し入れるなどの手続きを取ることをお勧めします。ノークレーム、ノーリターンと書いてあっても不正表示商品なら返品、返金請求できます。面倒でしょうが、不正表示を許さないという姿勢で多くの消費者がそのような行動を取るようになれば、不正表示は淘汰されていきます。

 なお、不正表示をする人は表示以外でも不正を行う可能性があり、取引には注意が必要です。例えば落札後すぐに写真を削除し、落札したものがどんなものだったか確認できないようにして別の商品を送る、などの危険性があります。紛らわしい商品名で出品している人と取引する時には、落札前に表示画面をコピーし、配送は鉢のまま宅配便などで送ってもらい、届いた商品をコピーした表示画面とよく見比べてネットで表示された通りの商品が来ているか、確認する必要があります。(実際にそのようなすり替え事例がありました。)

 ネットオークションにおけるハオルシアの不正表示問題については、日本ハオルシア協会としてこのブログの内容を証拠画面とともに経産省や、消費者庁、消費生活センター、適格消費者団体、およびヤフオクとAさんに送り、苦情と改善を申し入れる予定です。

 このブログをご覧になられた方で、ネットオークション等での不正表示の被害に会われた方、あるいはそのような方をご存知の方は、info@haworthia.netまでご一報ください。また被害者からの相談にも応じます。