H. jansenvillensisとその近縁種の分類について、2回に分けてエントリーしましたが、


H.virella は群生性とあるがEbenezerやPearston産のキールに微かに窓がある細葉で群生性のものがH.virellaなのか?

・H.incrassaやH.studis、H.tooris、H.latispina等はH.decipiensの仲間なのか?

・仲間ならどのように分 化してきたのか?


という旨の更なるご質問を頂きましたので、回答をこちらに記載します。


H. jansenvillensisとその近縁種の分類について (追補)   林 雅彦



 H. virellaは形態的に見てJansenvillensis群の祖先であるH. xiphiophylla H. flavida Darlington Dam)に近く、グル-プの中でももっとも原始的と思われる形態をしています。その特徴は①葉質硬く、②断面三角に近い細葉で、③葉色は強い黄色みを帯び、④鋸歯は荒くてやや間隔が広く、⑤窓はほとんどありません(先端近くにわずかにスリット状の窓)

 ①、④、⑤はH. eminensH. regalisと同じですが、これらの葉は②断面がより幅広の三角形で③葉色もずっと青みがかっています。

 H. virellaの産地はEbenezer周辺と推定されますから、このあたりで上記特徴に当てはまる群落(個体)はH. virellaと判断されます。参考にしてください。

なお、H. virellaの多くは群生性ですが、他の多くの種で見られるように、単頭性か群生性かは決定的な違いにはなりません。

 

H. incrassaH. studisH. toorisH. latispinaはすべてDecipiensの仲間です。H. studisDecipiens群の祖先の一つと考えられ、これがUniondale周辺でH. harryiから浸透交雑を受けて成立した種がH. ianthinaだと見ています。ただし葉の硬さはH. studisではなく、H. stiemieiKirkwood)あたりから由来したものでしょう。


このH. ianthinaの子孫の一つがH. incrassa で、おそらくSteytlervilleあたりのDecipiens系統の影響を受けています。これにさらにDecipiens系統遺伝子の浸透した群落がH. toorisだろうと見ています。いずれもH. harryiの形質を受け継いでいるため、窓の透明感が強く、きれいです。


H. latispinaPrince Albertの西)はこれらとは異なり、Steytlervilleの小型丸葉のDecipiens群落がそのまま大型化したKlaarstroom周辺(Prince Albertの東)のH. decipiensから分離した種(おそらくそこから種子が風に運ばれて成立した新群落)で、非常に大きな鋸歯が特徴です。鋸歯の大きさ以外はKlaarstroomH. decipiensとほぼ同じ形態ですが産地間は50km以上離れています。したがってこの間にDecipiens様群落があったとしても(たぶんあるでしょう)、大カルーにおけるハオルシア群落間の一般的距離から考えて、それら群落間に10km以上の断絶がある(つまり地理的隔離がある=別種)可能性は相当高いと見ています。