シェーラムナーセリーは南アフリカの老舗サボテン園で、ロバートソンという小さな町の郊外にあります。ケープタウンから車で2時間ほどの距離です。
写真のように広いサボテン畑に金シャチなどが地植えされており、ハオルシアは大部分が温室内に鉢植えですが、硬葉系など一部は地植えになっています。
シェーラムナーセリーというとサボテン園のイメージが強いですが、ここは元来は良質なワイン用ブドウ園で、サボテン園は面積的にも売り上げでもそのほんの一部にすぎません。つまりシュベーグマン一家(Schwegman シェーラムナーセリー経営者の名字)の本業はブドウ園経営で、サボテン園は副業というわけです。
先代の名物女主人(Mrs. Winny Schwegman)はしばらく前に亡くなり、後を息子夫妻が継いでいます。息子さんはブドウ園経営に専念されているようで、サボテン園はもっぱら奥さんのMrs. Minetteさんが切り盛りしています。ブドウ農場にはたくさんの労働者が住み込みで働いていますが、その奥さん連中の一部はサボテン園でも働いています。
ハオルシア専用温室は30坪程度のものが4~5棟あり、実生苗などがロットごとに浅い角鉢に植えられています。各鉢には採集番号などのラベルが立てられており、注文があるとMinetteさんが注文票を見ながら苗を抜いて小さな紙箱に1種1箱づつに入れていきます。苗を抜き終わるとそれを入れた箱を作業室にもっていき、そこで前記の女性労働者が包装し、箱詰めするわけです。
問題は包装作業で、紙につつむ際に落としたりすると、下にある箱のどれかに入ってしまい、少し似た種だと分からなくなってしまいます。そこでそれらしい苗を適当に選んで他の苗と一緒に包むわけですが、もしそれが違っていたら、ちょうど1本づつ入れ替わることになります。
複数本づつ注文するとどうもこのようにして入れ替わったのではないかというケースがしばしばありますから、要注意です。
また先代のWinnyさんも今のMinetteさんもハオルシアの分類に詳しいというわけではなく、名前(ラベル)の管理はBayerが時々来て行っています。したがって植え替えなどでラベルを間違ってもBayerがそれに気がつかなければそのまま売られてしまいます。
名前はセタタ系なのに、注文したらまったくクーペリーみたいな苗が来たという場合もしばしばあり、そのようなときは何年かおいて複数回同じ採集番号のものを注文してみないと本当にその番号の植物かどうか確認できないということもあります。
さらにBayer自身が実生のときに種子を混ぜてしまったか、小苗の植え替え時に誤って一緒にしてしまったか、同じ採集番号なのに明らかに別種がミックスされて売られていたケースもありました。
このような問題はシェーラムに限りませんが、原種の輸入にあたってはその苗の採集番号が本当に正しいか、十分注意してください。
Dr. M. Hayashi
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