‘オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)(‘Ollasonii はラテン語型なので不適格名)

‘オラソニー’はおそらくH. obtusaH. retusa(またはH. comptoniana)との古い交配で、かなり大型になります。‘三仙寿’も‘オラソニー’ですがさらに大きくなり、培養による巨大化変異株と思われます。培養による巨大化変異は‘鬼武者’等にも見られますが、‘オラソニー’と‘三仙寿’の関係もおそらくこれと同じであろうと見ています。

(‘鬼武者’は分頭性でしたが培養苗は単頭性になり、さらにより大型化したので非常に立派な標本株になります。また‘キングギドラ’等、中国の培養苗にはもとは無名の雑種だったが、巨大化したために新品種になったと考えられるものが多いです。)

 

さて培養すると斑が時々できますが、‘オラソニー’にも培養によって斑入りが出来ています。もともと大型なので斑入りは相当見栄えのする品種になるだろうと期待されますが、もしさらに巨大化が一緒に起こっていれば、‘三仙寿’に斑が入ることになりますからすごい絶品になることでしょう。


Photo1 オラソニー錦
写真1‘オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)D=10.5

Photo2 オラソニー錦
写真2
‘オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)D=10.5 

写真
1は最初に入手した‘オラソニー錦’ですが、オブツーサ系に時々出現する『透け斑』とでも言うべき斑です。これは葉裏の表皮の一部が筋状に薄く半透明(ときには透明)になり、内部の貯水組織が半ば透けて見えるタイプの斑です。このタイプの斑は写真1のように横(葉裏)から見るときれいな斑ですが、写真2のように上(葉表)から見ると斑の部分はほとんど見えません。

Photo3 オラソニー黄斑
写真3 
オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)D=6.5


写真3は次に入手した‘オラソニー錦’で、他の多くの斑入りと同じような筋斑のタイプです。葉表から見ても鮮明な斑が確認できます。このタイプの斑は時々出現するようで、注意していればオークションなどでも見かけることがあります。


Photo5 オラソニー白糊斑 D=5

写真4 オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)D=5.0


Photo4 オラソニー白糊斑 D=5
写真5 オラソニー錦’(‘Ollasony Nishiki’)D=5.0

 

写真4、5は最近入手したものでまだ小苗ですが、‘オラソニー’の白糊斑(琥珀斑)です。‘白蛇伝’や‘白銀の露’(H. obeseの白糊斑)のようにオブツーサ系の白糊斑は大変きれいですが、‘オラソニー’の白糊斑ならたぶんこれらよりずっと大型になりますから、オブツーサ系斑入りの最優品になるのではと期待しています。

また‘白蛇伝’や写真1、3‘オラソニー錦’はまったく紅葉しませんが、この白糊斑は写真45のように春夏にはきれいなピンク色に色づきます。

 

ただ白糊斑は葉緑が少ないので成長が遅く、また周辺キメラの斑なので葉挿しや胴切りでは繁殖できません。‘白蛇伝’‘白銀の露’と同じく自然仔吹きを待つしかありませんので、繁殖には相当時間がかかるでしょう。

もっと大きくなったら名前を付けて再度ご紹介します。

 

なお空中庭園(http://haworthia.jp)で紹介されていた‘オラソニー’3倍体錦もおそらく培養変異ではないかと思いますが、斑としては写真1の透け斑と写真2の筋斑との中間型のように見えます。つまり葉裏から見ると透け斑ですが、葉表にもかなり斑が出ているため、こちらは筋斑に見えます。したがって、‘オラソニー錦’にはこの3倍体錦も含めて現在4タイプあることになります。



Dr. M.Hayashi