5月31日に更にコメントを頂いておりますのでこちらにて回答致します。

『ハオルチア協会の意図がグループ品種の登録だったとしても種小名は類似の商標になり同様に規制されます。大文字と小文字は学術面では違いますが、商標においては類似の商標と認められます。
逆にlividaが「普通名称」なのであればLividaを登録するのは不可能です。残念ながら特許庁の担当者にはあまり詳しい方がいなかったようで通ってしまったようですが。
大体「学名が「普通の名称」に当たるかどうかは特許庁が判断することです。」と書いていますし学名を商標登録したと理解していますよね?
学名を一般的には使われていないからと商標に登録し一部の人間の利益として利用するのは良識のある判断とは到底思えませんが如何でしょうか。
例えHaworthia lividaについては問題が無かったとしてもUtricularia lividaやOxalis lividaなどの商品表示まで商標権の侵害になってしまいますがその点はどうお考えですか?』

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まずこの問題のこれまでの経緯と現在の状況を整理しておきましょう

(1)ハオルシアではこの数十年ずっと人気が拡大してきていますので、常に大量の初心者がいる状況が今日まで続いています。これが今回の事件の大きな背景です。

(2)ところが一部の大手サボテン業者はこの状況を利用して、有名品種の名前や類似した名前を勝手に別の品種に付けて販売し、あるいはすでに一定の名前で流通している品種に勝手に別名をつけて新品種であるかの如く装って発売し、さらには名前を付ければ売れるからと特徴の乏しい雑種の実生兄弟に片端から適当な名前を付けて売り出すなど、品種名をごまかして初心者をだますような商売を続けてきました。これが問題の発端です。

(3)そこで当会は明治以降のハオルシア品種名1万件以上を、園芸植物名の国際標準である国際栽培植物命名規約に基づいて7年かけて整理し、これを2013年に「ハオルシア品種名総覧」として出版しました。この出版が評価され、2014年には国際園芸学会から当会がハオルシアの国際栽培品種登録機関に指定され、代表理事の林がその登録人に指名されました。

(4)当会はこれをもとにサボテン業者らにハオルシア品種名の統一を呼びかけましたが、品種名が統一されると品種名をごまかす商売ができなくなるので、前記業者らはこぞってこれに反対し、国威栽培植物命名規約を無視すると宣言し、あるいは無視を呼びかけ、さらには品種名統一を進める当会に協力しないように同業者や顧客に圧力をかける始末でした。

(5)そこで当会はやむを得ず、品種名統一の手段としてこれら業者やその追随者に強制的に正名を使わせ、あるいは異名や重複名を排除するために、重要な品種名を商標登録することにした次第です。

(6)したがって当会の登録商標は当会が独占的に使用するためではなく、利用者に国際栽培植物命名規約に基づいた正名を使ってもらうことが主要目的です。そのため、使用許諾を非会員にも開放し、使用料金も包括契約でごく低額に抑ええています。また今後は会員など第三者が使うための公益目的での登録であることを明確にするために、一般の商標ではなく団体商標とする予定です。

さて、種名(正しくは種小名。以下同じ)を商標登録することに対する批判ですが、あなたは商標が名前(名辞)だけのものである、という基本的事項を見落としているようです。申請された商標が個体品種名かグループ品種名か、はたまた種小名かは商標審査上問題ではありません。商品区分が31類(生きた動植物)だからといって、申請された名前が品種名であるとは限りません。花輪や寄せ植え、ドライフラワーの商品名かもしれませんし、盆栽の銘(号名)かもしれません。商標は品種登録と違い、その名前が何を指すか(何の名前か)は基本的に問題外です。

さらに商標法上、学名や種名が登録不可ということはどこにも書いてありません。審査上問題となるのはその名前が商品区分や指定商品分野で取引業者や需要者がその名前をすでによく知っているか、その分野で他に同じ名前が使われていて混同する恐れがないか、などです。この「取引業者や需要者の間でよく知られ、使われている」ことが「普通の名称」という用語の意味です。種名あるいは学名だから「普通の名称」あるいは「普通名称」というわけではありません。(種名は普通名詞(概念の名)ではなく、固有名詞と考えられています。)

学名に限らず、一般に使われていない名前を商標登録するのは当たり前の話です。すでによく知られている名前では登録できません。ただしこのところ毎回のようにブログでお知らせしている通り、当会では登録した商標を独占することはせず、非会員も含めて低額で一般公開します。登録商標を独占したり、高額の使用料を徴収する予定はありません。

それにもかかわらずあなたは「学名を一般的には使われていないからと商標に登録し一部の人間の利益として利用するのは良識のある判断とは到底思えませんが如何でしょうか。」と故意に曲解し、非難しています。「一部の人間の利益として利用する」などと言う表現はまったく悪意を持った中傷で、「良識のある判断」をするべきなのはあなたの方ではないですか?このところ数回のブログをよく読み直してください。

匿名であることを隠れ蓑に、このような悪意を持った曲解や中傷をすることは名誉棄損になりますので、ご注意ください。また今回は対応しましたが、あなたに限らず、このような当会の信用失墜を狙った悪意のある曲解や批判、中傷に対応するのは時間の無駄ですから、今後は一切対応せず、投稿されたコメントも表示しません。

当会の商標登録に反対する人は、登録されたらその名前は使えない、と誤解しているようですが、会員、非会員にかかわらず、当会との包括契約により簡便かつ低額で使用できます。国際栽培植物命名規約の遵守が条件ですが、国際栽培植物命名規約の遵守は園芸愛好家にとっては当たり前の話です。

それにもかかわらず、種名は商標登録すべきでない、などと商標登録に反対したり批判したりする本当の理由は、品種名の統一に反対する業者などから種々の便宜供与を受けているためでしょう。しかしそのような行動は利己的な損得を優先して愛好家全体の迷惑を無視することになる、ということをよく考えてください。

商標に限らず、特許でも意匠でも、なるべく広い範囲で権利が取れるよう工夫して申請するのは常識です。それが知的財産権というものの基本的性質です。種名的品種名やグループ名は対象範囲が広いから登録すべきでないなどという批判は論外で、「良識」の問題ではありません。そのような対象の広い商標は独占すべきでないから、他の人も使えるようにすべきだ、という主張なら一理ありますが、それも権利者の判断次第です。

繰り返しになりますが、何よりも商標というものが名前だけの話で、それが何を指し示すか、(個体品種か、グループ品種か、種か、あるいは生花やドライフラワーの商品などか)ということには関係ないという点を再確認する必要があるでしょう。学名か種名かなど、言葉の指し示す対象の属性によって登録の可否が決定されるのではなく、その言葉が、指定商品の取引業者や需要者の間でどの程度認識され、使われているかが基本的な登録基準です。

最後にUtricularia lividaやOxalis lividaも確かに当会商標権の対象ですが、ハオルシア以外の属について「Livida」商標の使用を希望される方には無償で使用を許諾します。