September 2016

フェアトレードと適格消費者団体

  フェアトレードという言葉を最近よく耳にします。これはコーヒーや紅茶、カカオ、バナナなどの貿易で、低賃金で労働者を酷使したり、児童労働させたりして不当に安く生産された産物を扱わない取引のことです。企業としては同じ品質なら本来は安い価格の方を買うのですが、この場合は生産の過程で不当労働がある商品は安くても買わない、ということになり、結果的に主に低開発国で生産されるこれら商品の生産にかかわる労働者に適正な賃金が支払われることになります。

 この運動は世界的な広がりになっており、日本ではスターバックスや無印良品、イオンなどがこれに取り組んでいます。またこれら商品を扱う企業だけではなく、フェアトレードでない商品は買わない、あるいはフェアトレードを標榜した商品を積極的に買う、という消費者運動にもなっています。

 同様の運動は衣料品や宝飾品にも広がって来ており、こちらはエシックファッションとか、エシックジュエリーとか呼ばれています。エシックとはethic(倫理的)の意味です。エシックジュエリーの反対語は紛争ダイヤモンドなどで、ゲリラや反政府組織などが捕虜や支配地の児童などを使って安価に掘り出し、資金源とする宝石類です。

 類似の取り組みは海産物にもあり、海産物が持続可能に漁獲できるよう漁獲割り当てや業法(網の種類や目の大きさ)を守って適正に漁獲された海産物にマーク(海のエコマーク)をつけて販売し、消費者に積極的に買ってもらう取り組みです。この取り組みが広がれば、マグロなどの資源減少が心配される海産物も持続可能な形で漁獲でき、消費者も将来にわたってこれら海産物を賞味できると考えられています。

 これら商品はいずれもそうでない商品より若干割高です。不当労働や違法漁法などで安く生産される商品を除外するのですから当然ですが、同時に多少高くても正当に生産された商品を選んで買う消費者がいなければ成り立たない運動です。そしてこれらの運動が世界的な広がりを見せているということは、消費者がただ安ければよい、のではなく、多少高くても正当に、あるいは適正に生産された商品の方を買うという意識に変わりつつあることを示しています。消費者が不当、あるいは不法に生産された商品は安くても買わないようになれば、不法な方法で生産する業者は減少し、生産に従事する人の適正な所得や海産資源が守られるようになり、結果的に消費者自身の利益にもなる、というわけです。


 さて翻ってハオルシア業界を見ますと、国際栽培植物命名規約が世界標準になっているもかかわらず、これを公然と無視する関西のNや関東のSなどの大手業者がいます。国際栽培植物命名規約自身には罰則はなく強制力もありませんが、何度も指摘するように、重複名や異名で商品を売ることは、不正競争防止法や特定商取引法違反の可能性が高いです。また品種とは言えないようなもの(類似他個体と識別できないもの)に品種名をつけて表示・販売することは景品表示法違反(優良誤認)の可能性があります。

 NやSは自分たちなりの基準で品種名を統一しているかというとそうではなく、互いに勝手に名前を付けあい、多くの重複名や異名を量産しています。いい迷惑を受けているのが消費者(趣味家)で、別名なので同じ品種だと気づかずに重複して買ってしまったり、同名の別品種であることに気付かずに注文したら想定していたものと全く違う商品が送られてきたりする被害が危惧されます。消費者 (趣味家)の迷惑を顧みずに自分勝手な品種名を押し通し、全く改善する姿勢もない業者は、いわば「反社会的業者」と言えます。すでに何度も警告してきたのですが、一向に改める気配がないようなので、何らかの法的対処が必要な段階に来ていると考えています。

 一般的には違法行為を行っている業者にまず監督官庁(経済産業省や消費者庁)から是正指導や勧告を出すよう求めることになります。しかし園芸関係の事案ですと是正指導や勧告の前例がほとんどなく、また基本的に趣味の世界の話ですのであまり積極的に対応してもらえない可能性が高いです。これら反社会的業者はそれを見越して不当な商習慣を押し通そうとしているのでしょう。

 そこで適格消費者団体ですが、適格消費者団体とは主婦連などの消費者団体の内、消費者全体の利益のために消費者を代表して訴訟を起こす資格を認められた団体です。園芸関係の適格消費者団体はまだありませんが、もし認定を受けられればこれら品種名表示の違法行為を裁判所に直接差し止め請求することが可能です。また監督官庁に対する是正指導や是正勧告の申し入れもずっと強力になり、より積極的に対応してもらえると期待しています。

 さらにネットオークションの主催者などに対しても重複名や異名の是正を直接求めることができます。是正要求に応じなければ出品者とともに主催者自身も相手にして、消費者を代表して差し止め請求が可能です。したがって主催者としても違法名の多い出品者には是正要求をし、従わなければ出品差し止めやID削除をすることとなるでしょう。

 またホームページ上でハオルシアを販売している業者や個人に対してもネットオークションなどと同じく、監督官庁に違法な品種名使用の是正指導や勧告を請求し、また適格消費者団体として業者等に直接是正の申し入れや警告を行い、あるいは裁判所に差し止め請求することができます。ネット販売は特定商取引法の規制対象で、罰金や罰則もあり、最悪の場合は業務停止命令となります。

 適格消費者団体の認定を受けるには相当高いハードルがありますが、日本ハオルシア協会の場合、認定条件である法人化は実施済で、定款には消費者保護をうたい、会員数も100名以上おり、また国際栽培品種登録機関として品種名の統一に2年以上尽力してきた実績があり、品種名や品種の同定など、この分野の専門家や法律顧問も確保しています。主な条件はおおむねほぼクリアしています。

 しかし適格消費者団体制度はまだ始まったばかりで、消費者金融など全国的な問題を扱う東京や大阪の大規模消費者団体に続き、現在は福岡、広島、北海道など、地方の問題を中心に扱う適格消費者団体が整備されつつある段階のようです。恐らくその後に園芸や趣味の世界の限定的課題に取り組む組織が整備されるだろうと見ています。したがって適格消費者団体の認定は当初の想定より時間がかかりそうですが、それまでは既存の適格消費者団体と連携し、これら反社会的なサボテン業者に悪慣行の是正を求めていく方針です。

 趣味園芸の世界にこのような法律的対処を持ち込むのは避けたいところですが、趣味の世界だからといって悪慣行がまかり通り、消費者(趣味家)が大きな迷惑を受けるのを看過することもできません。またハオルシアが世界的ブームとなるにつけ、重複名などの悪弊を是正する必要がありますが、業界には自浄能力がなさそうなので、法律的対処もやむを得ないところです。

 話はフェアトレードに戻りますが、これは消費者が自身の消費行動によって、不正や不公平を是正し、あるいは資源保護を推し進めようという運動です。ハオルシアでも消費者 (趣味家)の皆さんが賢明な判断をしてくださることを期待しています。

ハオルシア盗難相次ぐ

 今年7月初めに藤枝市の栽培家からハオルシア200本を盗もうとした中国人、田振群が現行犯逮捕されて以来、しばらく盗難の報告はなかったのですが、8月下旬以来3件もの盗難事件が起きています。

まず8月22日には滋賀県長浜市のサボテン業者温室でハオルシア実生中小苗が150本盗まれています。ここはサボテン中心の業者さんですが、ハオルシアのある温室だけが狙われ、他の温室には全く手を付けていません。盗まれたのはまだ顔の出ていない3号鉢の中小苗で、親もそう大したものではないということですから、転売目的ではなく、自分で育て上げるために盗んでいったのではないかと思われます。つまり中国人窃盗団ではなく、日本人の模倣犯の可能性が高いです。

8月24日ころにはカクタスニシで交配種の親株中心に約50本が盗まれたということです。24日ころというのはこの時西氏は長野の交換会に出かけており、その後何日か業者などを回っていて帰ってから盗難に気付いたので、正確な日時が特定できないということです。防犯カメラもあったのですが、時間が経っていてデータが上書きされてしまい、映像は残っていなかったそうです。

またこの事件では玉扇、万象ではなく交配種の親株が狙われ、しかも鉢ごと盗まれているのが大きな特徴です。これらのことからこの事件も中国人窃盗団ではなく、日本人の模倣犯、それも西氏のスケジュールや内部情報をよく知っていた者の可能性が高いです。

さらに9月6日には神奈川県南足柄市の趣味家の温室に泥棒が入り、玉扇、万象の大株ばかり約200本が盗まれました。届け出被害額は1500万円だそうですが、ビッグバンの親株など非常に良いものの大株もあるので、時価では届け出被害額の倍くらいはすると推定されます。写真の通り、ラベルを残して鉢から抜きあげて持って行っており、玉扇、万象ばかりが盗まれているので、これは中国人窃盗団の仕業と思われます。

被害状況被害状況被害状況


この方は地元の方以外その存在を知られておらず、もちろんどのようなコレクションをお持ちかも知られていません。また温室は自宅の近くにありますが、ほとんど人を入れていないということです。それにもかかわらず狙われたとすれば、犯人はどこからその情報を仕入れたのかが焦点になります。

地元の方や最近訪れた方には怪しい方はいないということですが、唯一可能性のあるのが、最近藤枝市で開かれたセリ会です。この方はそこに出品し、かなり良い玉扇、万象も出して高値で落札されています。この時会場には新顔の参加者数人が来ていましたが、その中に中国人の夫婦がいて、参加者名簿の写真を撮っていったということです。

この中国人が犯人ないし下見役であったかはわかりませんが、参加者名簿の写真を撮っていったというのはかなり怪しい行動です。ネットで検索すると名前から住所が特定できるという話ですし、良いナビを使えばピンポイントでその場所まで行けます。したがって参加者名簿の写真を撮れば、出品物の内容を見てその出品者のコレクション内容を知り、さらに住所まで割り出せるわけです。

ハオルシアの著名収集家や業者はどこも警備が非常に厳しくなっているので、窃盗団にとって侵入、盗みだしはかなり難しくなっています。そこで窃盗団は各地のセリ会に目を付け、そこで出品物などから情報を仕入れ、「まさかこんなところまでは来ないだろう」と思っている警備の甘い地方の収集家を狙い出したと思われます。

そこでこれを防止するために各セリ会で次のような対策を取ることをお勧めします。

(1)まず、セリ会ではすべての参加者に住所氏名を書いてもらい身元を確認すること。特に新規参加者には免許証などの提示を求め、その写真を撮っておくこと。また外国人ならパスポートや外国人在留資格認定証明書などの提示を求め、その写真を撮っておくこと。

(2)その参加者名簿は厳重に管理して受付時以外は閲覧禁止とし、写真やコピーなどは一切取らせないこと。書き写しも禁止すること。

(3)出品者には番号を割り振り、セリ順などの表示も番号だけで行うこと。

(4)誰が出品者であるかは秘密事項とし、参加者同士でも知らない人には教えないこと。またこのことをセリ会冒頭に主催者が参加者に要請すること。

 また関東のあるセリ会では高額で落札したハオルシアが会場から盗まれたという話も出ています。落札物やできたら出品物も置く場所を区画し、そこに多数の人が出入りするのを禁止すべきです。高額品が取引されるセリ会では会場に臨時の防犯カメラを設置することも検討してください。費用は1日1台1~2万円程度です。

☆コメントは承認後に公開されます。
☆品種等の質問はハオルシア協会会員に限定します。

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