February 2016

不正表示の件(補足・著作権について)

前回の記事について、コメント欄より画像の使用についてのご意見を頂きました。
同様の疑問をお持ちの方もあるかと思いますので、ご説明します。

前回の記事においては、不正表示問題への警告を行うために例となる画像を多数使用しましたが、結論を先に申し上げますと、著作権法上、全く問題はありません。

以下、根拠を示します。


 著作権法
(引用)

第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

ウィキペディアより引用
 『文化庁によれば、適切な「引用」と認められるためには、以下の要件が必要とされる。

 ア 既に公表されている著作物であること
 イ 「公正な慣行」に合致すること
 ウ 報道,批評,研究などの引用の目的上「正当な範囲内」であること
 エ 引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
 オ カギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
 カ 引用を行う「必然性」があること
 キ 「出所の明示」が必要(コピー以外はその慣行があるとき)

 — 文化庁 (2010) 、§8. 著作物等の「例外的な無断利用」ができる場合 ⑧ ア、「引用」(第32条第1項)』


 したがって、不正表示問題への警告を行った先のブログでの引用は完全に合法です。
上記を踏まえた上で、尚、犯罪と思われる場合は警察・検察庁へ告発して下さって結構です。

尚、コメントを頂いた方は『おばけ株の出品は(犯罪ではなく)モラルの問題』 と問題を矮小化していらっしゃるようですが、これはモラルの問題ではなく、景品表示法や特定商取引法、および不正競争防止法に違反する犯罪です。

不正表示について(3/3)

不正表示について(1/3)、(2/3)の続きです。


 その他に不適切な表示として最近目に付くものが、全斑の出品です。写真㉜~㉞はその例の一部で、おなじくAさんの出品例です。これらは斑入り個体の下部から出た全斑の仔を切り離したと思われるもので、出品時には生きていますがせいぜい半年、長くて1年くらいの命です。親株からの養分で成長していたのですが、親株から切り離されれば、葉緑部が全くないので短期間のうちに確実に枯死します。出品者はもちろんそれがわかっていて出品しているのでしょうが、これは本来は商品ではなく、一般に捨てられていたものです。

㉜オブツーサ系全斑-オブツーサ錦ゴールド群生
㉜オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

㉝オブツーサ系全斑-オブツーサ錦ダルマ葉
㉝オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

㉞ オブツーサ系全斑-オブツーサ錦だるまタイプ
㉞オブツーサ系全斑(ヤフオクより引用)

 全斑でも中心部の葉の内部に葉緑があってそれで成長する黄金コレクサや葉裏に筋状に葉緑がある金閣寺(宝草錦全斑)、サラダ記念日(京の華錦全斑)などの品種もありますが、中心部にも葉裏にも全く葉緑がない場合は確実に枯死します。A さん以外にも全斑に近いものを出品している人が複数いますが、中心部に葉緑が全くない場合は近い将来枯死する可能性がかなり高く、販売するとしても必ず断り書きが必要です。

 反対に斑が全く確認できない仔株でも、斑入り株から出た仔ということでxx錦と表示して出品している例も時々あります。これは不適切というより不正表示(虚偽表示)になります。この場合も成長に従って斑が現われたり、仔に斑が出たりすることもありますが、出品時に斑が確認できない場合は、表示として「xx錦の仔」、説明に「現時点で斑は確認できません。」などと記すべきです。(良心的な出品者はすでにその旨表示しています。)

 その他の不適切表示として商品名(タイトル)に商品とは関係のない名前や文字列を入れるものがあります。これはヤフオクのガイドラインでも禁止されています。

 例えば『ハオルチア 黒水晶 オブツーサ ハオルシア 水晶』とか、『ハオルチア 緑水晶 カキ仔苗 ハオルシア オブツーサ水晶A』、あるいは『ハオルチア 緑水晶 ハオルシア オブツーサ黒水晶 水晶』などと商品名を表示して出品する人(同一人)がいます。 また別人で『オブツーサ ハオルチア リメイク缶 水晶』と表示して出品している人もいます。

 しかしこれらはすべて「水晶オブト」とは無関係と思われます。いずれも最後”水晶”という表示がありますが、この表示は商品があたかも有名な「水晶オブト」(略称『水晶』)と何か関係があるかのような誤認を招き、まさに優良誤認表示の典型例です。本当に「水晶オブト」の実生や交配などなら、このような紛らわしい表示ではなく、「水晶オブト実生」、あるいは「水晶オブト交配」などと正しく表示すべきです。

 同様に『ハオルチア コレクタ アロワナ系』と表示してジュピターの実生を売る関東の大手サボテン業者がいます。「アロワナ」は親クローンも実生苗も全く流通していませんし、その兄弟も1株しかありません。この業者は同じ様な表示でこれまで4点の商品をヤフオクで売っていますが、これら商品は「アロワナ」とは全く無関係です。「アロワナ」の評価の高さを利用した優良誤認表示の典型例ですが、これは多少白線が多い大型万象だというだけで、全く無関係な万象を『ドラゴン系』とか「白妙系」とか表示して売るのと同じです。この場合、売り主は専門業者ですから、そのあたりの事情はよくわかっているうえで、あえてこのようなごまかし表示をしていると思われ、悪質性が高いです。

 さらに例えば万象のまだ親葉の出ていない実生小苗に名前を付けて出品する人がいます。親葉が出ていないので、まだどんなものになるかわからないのに、名前を付ければ売れるとして出品しているわけです。新しい名前で出品されていて親株の写真がない場合は、このような場合がありますから、取引しない方が安全です。

 なお多数の商品を出品している場合は経歴や規模にかかわらず、特定商取引法上の事業者です。法律上、事業者とは「営利の意思を持って反復継続して取引を行う者」と規定されており、オークションに毎月多数の商品(多肉植物等)を出品している者はすべて事業者です。一般的基準は消費者庁の『インターネット・オークションにおける「販売業者」に係るガイドライン』で解説されていますが、販売業者(事業者)に該当するかどうかは個別に判断されます。ヤフオクで出品マスターとしてランク(ブロンズ、シルバー、ゴールド等)されているハイレベル出品者は上記一般的基準にかかわらず、事業者と判定されるでしょう。素人であっても事業者ならば誇大広告や優良誤認表示は当然禁止です。

 また、事業者でない素人の出品なら商品名が誤っていても良いわけではありませんし、売り手責任を回避できるわけでもありません。不正表示や誤った表示で商品を売って買主に損害を与えれば、事業者でなくても売主には当然損害賠償義務が生じます。紛らわしい表示で消費者(買主)をだます意図があった場合は詐欺罪にもなります。

 「写真を見て納得した方のみ入札してください」と書いてあっても同じです。写真を掲載すれば名前(商品名)は適当(不正)でも良いというわけでは全くありません。写真を見て納得して購入(落札)したのだから、すべて落札者の自己責任だというわけではなく、写真を掲載していても不正表示で商品を売れば、誤認(誤解)は買主ではなく売主の責任となります。枯死する可能性の高い全斑個体を必要な説明をせずに売った場合も同じです。

 したがって不正表示商品(重要事項の不告知を含む)を買ってしまった場合は泣き寝入りすることなく、返品や代金返却を請求し、あるいはヤフオクなどのオークション運営者や各地の消費生活センターに苦情を申し入れるなどの手続きを取ることをお勧めします。ノークレーム、ノーリターンと書いてあっても不正表示商品なら返品、返金請求できます。面倒でしょうが、不正表示を許さないという姿勢で多くの消費者がそのような行動を取るようになれば、不正表示は淘汰されていきます。

 なお、不正表示をする人は表示以外でも不正を行う可能性があり、取引には注意が必要です。例えば落札後すぐに写真を削除し、落札したものがどんなものだったか確認できないようにして別の商品を送る、などの危険性があります。紛らわしい商品名で出品している人と取引する時には、落札前に表示画面をコピーし、配送は鉢のまま宅配便などで送ってもらい、届いた商品をコピーした表示画面とよく見比べてネットで表示された通りの商品が来ているか、確認する必要があります。(実際にそのようなすり替え事例がありました。)

 ネットオークションにおけるハオルシアの不正表示問題については、日本ハオルシア協会としてこのブログの内容を証拠画面とともに経産省や、消費者庁、消費生活センター、適格消費者団体、およびヤフオクとAさんに送り、苦情と改善を申し入れる予定です。

 このブログをご覧になられた方で、ネットオークション等での不正表示の被害に会われた方、あるいはそのような方をご存知の方は、info@haworthia.netまでご一報ください。また被害者からの相談にも応じます。

不正表示について(2/3)

不正表示について (1/3)の続きです。


 「京の華錦」は「宝草錦」以上に結実性が低いため、その交配種はそれほど多くありませんが、斑色に透明感があるので「えびす錦」⑪のように斑色に透明感のあるきれいな斑入り品種ができます。ただし一般的に体色は薄いです。なお「えびす錦」には当初発表された個体の他に、より透明感の低い斑色のものがあり、これが出回っています。別個体の可能性があると思われますので、暫定的にこれを「えびす錦B」⑫、当初のものは「えびす錦A」⑪とします。

⑪えびす錦A
⑪えびす錦A

⑫えびす錦B-CactusNishi
⑫えびす錦B (カクタスニシブログ 2012-4-17より引用)


 「京極錦」⑬は奈良多肉植物研究会のオークション(奈良オク)に『グリーンオブツーサ交配種錦』として出品されたものですが、明らかに「京の華錦」にオブツーサ(たぶん青ブドウ系)をかけたものです。斑色も含め、全体に透明感があるので「マリン」よりきれいです。

⑬京極錦-グリーンオブツーサ交配種錦Nara
⑬京極錦(グリーンオブツーサ交配種錦:奈良多肉植物研究会オークション2015-1-4より引用)

⑭京の花火-花火Nara
⑭京の花火(花火:奈良多肉植物研究会オークション2016-2-3より引用)

 「京の花火」⑭も奈良オクに『花火』の名で出品されたものですが、”花火”という名は他にも使われており、混同を避けるために「京の花火」としました。「京の花火」は「京極錦」より「京の華錦」に近い形態です。ただし葉は「京の華錦」より厚く、棒状です。

⑮福美人-花ダルマオブツーサ
⑮福美人(ヤフオクより引用)

⑯福美人-ギなしクーペリー
⑯福美人(ヤフオクより引用)

⑰福美人-ジョイアエ
⑰福美人(ヤフオクより引用)

⑱福美人錦-オブツーサ交配種錦Nara
⑱福美人錦(オブツーサ交配種錦:奈良多肉植物研究会オークション2016-2-3より引用)

 ロツンダはシンビフォルミスの仲間ですが、窓が大きくてオブツーサに近い形態の「福美人」(たぶんオブツーサとの交配品種)が以前からあります。表皮が薄く、プリプリした葉質が特徴です。前出のAさんがヤフオクに『花ダルマオブツーサ』⑮として出品したものがこれです。また他の人からも『ノギなしクーペリー』⑯とか『ジョイアエ』⑰などの名前で出品されています。さらに奈良オクで『オブツーサ交配種錦』⑱として出品されたものはこの斑入りの「福美人錦」です。この個体は正しくは「京の華錦」との交配と思われますが、形態的には「福美人」とほとんど同じなので「福美人錦」と呼んでも差支えないでしょう。

 なお「福美人」はたぶんロツンダとオブツーサとの交配で、葉はかなり丸棒状です。よりロツンダに近い、「福美人」の兄弟と思われる平葉の個体がヤフオクでAさんから『オブツーサ三角葉タイプ』⑲、⑳として出品されていました。しかしこれらを『オブツーサ』と呼ぶのは誤りですから、これを「碧美人」(あおびじん)としました。またこれらより窓が大きく透明な個体が『花火』㉑という名で出品されていますが、前述のように『花火』という名は他にも使われています。そこでこれを「花美人」と呼ぶことにします。

⑲碧美人A-オブツーサ三角葉
⑲蒼美人A(ヤフオクより引用)

⑳碧美人B-オブツーサ三角葉タイプ
⑳蒼美人B(ヤフオクより引用)

㉑花美人-花火
㉑花美人(ヤフオクより引用)


 これらロツンダ交配の仲間は全体に透明感が高くきれいなので、正確な名前で、素性を明らかにして出品すれば、オブツーサなどとごまかすよりむしろ高評価されるでしょう。

 ロツンダ以外にもオブツーサと混同されているシンビフォルミス系の種がいくつかあり、それをまとめたものが表3です。
obtotable02172016-3


 ジョイアエはよくオブツーサと混同されますが、鮮緑色の葉色と窓に入る太い網状葉脈とが特徴で、慣れればすぐ区別ができます。㉒は『オブツーサhyb. 美葉』としてヤフオクに出品されたものですが、間違いなくジョイアエそのものです。

㉒ジョイアエ-オブツーサhyb美葉
㉒ジョイアエ(ヤフオクより引用)

㉓ジョイアエ交配-太線オブツーサ
㉓ジョイアエ交配(ヤフオクより引用)

 ㉓は『太線オブツーサ』としてやはりヤフオクに出たものですが、こちらはおそらくジョイアエとロツンダ「福美人」との交配でしょう。オブツーサ類とは基本的に関係ありませんから、表示としては「ジョイ交配」または「ロツンダ交配」、あるいは「オブツーサ」や「オブト」を使わないまったく別の品種名を用意するのが良いです。

 カガエンシスはやや細い、直棒状で強い黄緑色の不透明な葉が特徴の種です。葉先が丸く、シンビ系としては例外的に葉脈が葉先に達しない(つまり窓に完全透明な部分がある)ので、これも時々オブツーサと混同されます。しかし葉色は非常に特徴的で、遺伝性が強いので、これも慣れればすぐに判定できるようになります。

㉔カガエンシス交配-青木オブツーサ
㉔カガエンシス交配(ヤフオクより引用)


 ㉔は『青木オブツーサ』としてヤフオクに出たものですが、おそらくカガエンシスと何らかのオブツーサとの交配でしょう。こちらはオブツーサが関係しているので、「青木オブト」も可ですが、初心者が間違えないためにも「カガエン交配」と併記するほうが親切です。

 ウンブラテコーラやトランシエンスも時々オブツーサと間違えられ、あるいは誤(偽)表示されていますが、別名を用意した場合も推定が出来れば「ウンブラ交配(?)」とか「トランシ交配(?)」とか表示したほうが親切です。これら植物のオークションへの出品例もありましたが、残念ながらコピーを取ってないのでここに参照できません。

 いずれにしてもこれらシンビ系の種との交配は「福美人」のように別名がある場合でも「ロツンダ交配」とか「ジョイ交配」とか表示して、消費者、特に初心者が間違えないようにしてください。一方、オブツーサ系同士の交配なら種間雑種でも「オブツーサ」あるいは「オブト」などの文字を使った表示をして構いません。


 ヤフオクではオブツーサ系あるいはオブト交配でなくても、最近はトンデモ表示で初心者をだますような表示があるのは大きな問題です。中には多くのトンデモ表示商品を出品する悪質な人もいますから、ヤフオク利用者は注意してください。


 トンデモ表示の例として、例えば㉕~㉗は『オブツーサ 水晶』と表示されてヤフオクに出品されたものです。㉕は写真で明らかに水晶オブトではないことがわかります。㉖はすでに画像が削除されているので、落札相場の画像を表示してありますが、葉の色調が暗いので、本物らしく見えます。この商品は落札者から当協会に相談が持ち込まれたものです。

㉕偽水晶ー1
㉕偽水晶(「水晶」名で出品された偽物:ヤフオクより引用)


㉖偽水晶ー2
㉖偽水晶(「水晶」名で出品された偽物:ヤフオクより引用)


㉗偽水晶ー3
㉗偽水晶(「水晶」名で出品された偽物:ヤフオクより引用)


 ㉗はこの原稿を書いている時点でまだ終了していませんが、明るい黄緑葉の色調から見ておそらく本物ではないです。この出品者はこのほかにも過去120日以内に9点もの商品を同じ商品名で出品しています。親株の写真は全く出していませんが、すべてが相当額で落札されています。また画像は不正表示が発覚するのを警戒してか、すべて削除されています。

 これら㉕~㉗はもちろん有名な「水晶オブト」ではなく、明らかに《優良誤認表示》や《周知表示混同惹起》、あるいは《著名表示冒用》などに当たります。「うちではこれを『水晶』と名付けている」とか「有名な「水晶オブト」とこの『オブツーサ 水晶』とは別物だ」とかいう言い訳は通用しません。紛らわしい名前の使用は景品表示法や特定商取引法違反等の違法行為です。ヤフオク上ではなく、万一事件や争いになった時、警察や裁判所でその言い訳が通用するかどうかで判断してください。

㉘華王?-ティンカーベル
㉘華王(ヤフオクより引用)

 ㉘は『ティンカーベル』としてヤフオクに出品されたものですが、レテキュラータの正しい「ティンカーベル」とは全く別の、恐らく「華王」(はなおう)類似の交雑個体、または「華王」そのものです。

㉙レツーサ交配-宝草子苗付き
㉙レツーサ交配(ヤフオクより引用)

 ㉙は『宝草』として出品されていますが、明らかにレツーサ交配の雑種です。
*(画像内の黒い帯はキャプチャーミス)

㉚レツーサ交配-三仙寿
㉚レツーサ交配(ヤフオクより引用)

 ㉚は『三仙寿』と表示されていますが、これも明らかにレツーサ交配の雑種です。


㉛ウィミー系雑種-コレクタ系
㉛ウィミー系雑種(ヤフオクより引用)

 さらに㉛は『コレクタ系』と表示して出品されていますが、コレクタ系の特徴であるガラス質の窓も、窓の折れ線模様も全く見られません。おそらくウイミー(マジョール)系の雑交配でしょう。㉙~㉛の出品者はAさんです。

 ヤフオクには最近の数か月だけでもこのように多くのトンデモ表示の出品があります。ハオルシアは他の多肉植物と比べ、かなりの高額商品です。それだけに特に初心者の方はトンデモ表示に騙されて後悔しないよう、購入(落札)に当たっては近くの詳しい人に聞くとかして慎重に対処してください。


(3/3)に続く

不正表示について(1/3)

※記事の容量が大きいため、3回に分けております。
(1/3)より順にお読みください。

不正表示  林 雅彦 (国際栽培植物登録機関(ハオルシア) 指定登録員)


 最近はネットオークションで多くのハオルシアが売られるようになり、非常に活況です。しかし一方では、売買されるハオルシアの名前に多くの不正表示も見られるようになってきました。特にオブト錦(オブツーサ錦)に顕著で、人気に便乗してとてもオブト錦とは呼べないようなものまで、『オブツーサ錦』として売られる例が目立っています。

 とてもオブト錦とは呼べない『オブツーサ錦』の多くは宝草錦にオブツーサやオブツーサ類似の交配種をかけたと思われるものがほとんどです。これらの個体はオブツーサと言うよりむしろ宝草(クスピダータやシンビフォルミス)、あるいはそれらの雑種とでも呼ばれるべきものです。販売者(出品者)は「宝草錦交配」として売るより、『オブツーサ錦』と表示して売った方が高く売れるという意図でそのように表示しているのでしょう。しかしこれらは観賞上もオブト錦より相当に劣り、このような個体を『オブツーサ錦』と表示して売ることは景品表示法の《優良誤認表示》に当たります。

 景品表示法では故意に表示した場合だけでなく、誤って表示した場合も違法行為となりますので、「入手時の名前」だと言い逃れることはできません。何度も名前の誤りの指摘を受けながらそのような表示を続けることは、消費者、特に初心者をだまして不正な商品を売りつける詐欺だとも言えます。

 このような表示はまた特定商取引法上の誇大広告等、「著しく事実に相違する表示」にも該当します。さらには不正競争防止法の周知表示混同惹起または誤認惹起に該当し、明らかな違法行為です。食品の偽装販売や産地偽装と同じです。今後もこのような不正表示が続くようなら消費生活センターなどと連携しての法的対処も必要と考えています。

 またこのような不正表示が横行しているヤフオクではハオルシア以外の商品でも多くの不正表示商品が出品され、さらにそれら不正表示に対してヤフオクが積極的に是正処置を取らず、その結果ヤフオクが不正表示販売の温床になっているとして2ちゃんねるなどで問題になっています。実際ハオルシアでも名前の誤りや不正表示を何度も指摘(違反申告)してきましたが、出品取り消しや名前の是正がおこなわれたことは一度もありません。

 ヤフオクとしてはこれら表示の不正に厳しく対処して出品数が減る懸念もあるかもしれませんし、実際のところ大量の出品があり対応が追い付かない等の事情もあるのかもしれませんが、不正表示はもちろん違法行為ですから、このような違法行為がいつまでも続けられると思うのは誤りです。ヤフオクが積極的な対策を取らないからといってそのような不正行為を続けていると、いつかこの問題に捜査の手が入り、ヤフオクともども書類送検され、悪質な場合は逮捕されることもあり得ますから注意してください。

 日本ハオルシア協会としてはこの様な不正表示に対処するために適格消費者団体を目指して近く社団法人化する予定ですが、それまでにも既存の適格消費者団体や消費生活センターなどと連携し、不正表示の解消に努めていくつもりです。また証拠のために不正表示出品は気がつく限り表示画面のコピーを取って保存しています。

 しかし一方でオブト錦と偽表示されたこれら個体は、園芸上オブト錦より劣ることは確かですが、斑入り個体という点では一定の観賞価値はあります。オブト錦(オブツーサ錦)と表示することには問題があるものの、これら一定の観賞価値のある斑入り個体群は、例えば宝草錦に紫オブトをかけたものは「マリン」、ボルシー錦やセタタ錦にオブツーサをかけたものを「プリン」と呼んで一般的なオブト錦と区別しています。そこで交配品種群の一般的呼称基準を表1のように決め、宝草錦とオブト類などとのオブト錦等については表2、3のように区分して命名しました。

obtotable02172016-1
obtotable02172016-2
obtotable02172016-3

 これは国際栽培品種登録機関としての裁定です(ICNCP Art. 29.3)。今後これらの植物には「オブツーサ錦」等の表示は使わず、表1、2、3の区分に従って表示してください。

 以下、表2の区分についてオークションでの実例写真(丸番号)とともに解説します。写真の説明文中、カッコ内は出品時に表示された名前です。


①karin1
①カリン(ヤフオクより引用)

②karin2
②カリン(ヤフオクより引用)

③karin3
③カリン(ヤフオクより引用)

④hatsuyumeden-yahuoku
④初夢殿(ヤフオクより引用)


  「カリン」①~③はとてもオブツーサ錦とは呼べないものを「オブツーサ錦」として偽装表示している代表例です。これはすべて同一人(長野県のAさん)からのヤフオクへの出品で、同人が出品した「初夢殿」④を宝草錦に掛けた交配品種でしょう。むしろ『初夢殿錦』とでも呼んだ方が適切ですが、「マリン」や「プリン」に合わせて「カリン」と命名しました。Aさんは①~③以外にも多数の「カリン」を出品しています。なお「カリン」の斑抜けは「青カリン」としました。

⑤kirin1
⑤キリン(ヤフオクより引用)

⑥kirin2 
⑥キリン(ヤフオクより引用)

⑦kirin3
⑦キリン(ヤフオクより引用)

  「キリン」⑤~⑦は「マリン」に似ていますが、より宝草錦に近い形態のものです。「マリン」と比べ、葉が平たく、窓も小さいのが特徴です。鋸歯が多い個体は父親(花粉親)が紫オブトではなく、鋸歯のあるオブツーサかその雑種の可能性が高いです。「キリン」も「カリン」と同じくヤフオクでAさんから「オブツーサ錦」と表示して出品されていますが、とても「オブツーサ錦」とは言えません。

  「カリン」と「キリン」はともに宝草錦に似た斑入りで、花粉親もオブツーサかその交配種(初夢殿)ですから、個体によっては区別しがたいものもありそうです。一般的には「カリン」は内曲葉の濃緑肌で窓の網目と鋸歯が目立ち、「キリン」は展開性葉で黄緑肌、窓の網目や鋸歯はほとんど目立ちません。

⑧新美錦
⑧新美錦(ヤフオクより引用)

  また⑧は別の人からヤフオクに『新・オブツーサ錦』として出品されたものですが、見ての通り「キリン」というよりほぼ宝草錦(新美錦)そのものです。この場合、宝草錦とは違うと言うなら、どこが違うか、相違点をわかりやすく説明する必要があります。 なお花水晶や大孫錦は宝草錦にスタイネリーをかけたものと推定されますが、それらの兄弟でより宝草錦に近いものも想定(現物未確認)されますので、それもとりあえず「キリン」とします。「キリン」とは区別した方が良いとなれば改めて命名します。

⑨青キリン
⑨青キリン(ヤフオクより引用)

⑩青キリン
⑩青キリン(ヤフオクより引用)


  「キリン」の斑抜けは「青キリン」としました。宝草やシンビフォルミスよりダルマ葉ですが、窓はほとんどありません。これを『ダルマ葉オブツーサ』⑨、⑩として売るのは悪質な違法表示で、とても「オブツーサ」とは言えない代物です。出品者はAさんです。

(2/3)に続く

盗難事件の件(2月13日・14日発生)

2月13日未明、埼玉の池田氏温室に泥棒が入り、温室内にあったハオルシア大小合わせて500本ほどが盗まれました。15坪ほどの温室1棟にあったすべての苗が盗まれたそうです。
また苗を抜いていっただけでなく、鉢や土を通路などにばらまいて荒らしまくっていったそうです。怨恨の可能性も考えられます。

この場所には他にサボテンなどの温室もあるのですが、ハオルシアの温室だけに侵入しています。さらにハオルシアの温室は2棟あってその内1棟には監視カメラが入っているのですが、そちらには侵入しようとした形跡もないということです。犯人は何らかの方法で監視カメラの存在を把握していたようです。
大事なものは監視カメラ付きの温室に入れてあって無事だそうですが、それでも相当な被害額です。


14日早朝にも千葉県の酒井氏宅温室に泥棒が入り、玉扇、万象、ピクタなどの優良株がすべて盗まれたとのことです。
酒井氏温室は自宅の敷地内にあり、泥棒は自宅敷地の門を超えて侵入し、温室入り口の南京錠のツルを工具で切断したうえで、犯行に及んでいます。壊した南京錠はツルを切断した工具を特定されないよう、持ち去っています。

また先にお知らせした北関東の有名育種家M氏温室にも再度泥棒が入ったということです(確認中)。このケースも被害にあった温室は自宅のすぐ横にあります。


このように盗難事件が続発しており、自宅から離れたところにある温室だけでなく、自宅横にある温室でも被害にあっています。また佐野氏や酒井氏の温室は住宅街の中にあります。したがって自宅横や住宅街の中であっても油断はできません。早急に防犯対策を取るよう、お勧めします。一度被害にあった場合でも、価値のある植物が残っている場合は、再度狙われます。

さらに鍵を壊す工具を用意しているところから見て、家人などに見つかった場合の凶器も用意している可能性が高いです。気がついても自分で確認に行くのは危険です。確認の依頼も含めてすぐに警察に連絡してください。

これまでのところ、犯行はおおむね月1回で、週末に集中しています。犯人の少なくとも一部は東京都東部周辺に居住する外国人らしいと見られているようです。
故郷の休みなどで日本に旅行に来ている仲間を使って犯行をさせ、盗品と一緒に帰国させて売りさばいていると思われます。したがってその仲間が来日中の間に集中して犯行を繰り返す可能性が高いです。
しかし犯人グループが1つだけとは限りませんので、関東地区に限らず厳重に警戒してください。

犯人にとって監視カメラはやはり脅威ですから、まだの方は早急に設置してください。また温室内だけでなく、周囲の道路など、特に車のナンバーが特定できるように設置すると犯人逮捕には非常に有効です。監視カメラを設置する際はぜひ検討してみてください。


☆コメントは承認後に公開されます。
☆品種等の質問はハオルシア協会会員に限定します。

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