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October 2013

 ハオルシア品種名総覧は本日(1031日)発行されました。表紙カバーに印刷ミスがあり、刷り直したため1日遅れとなりました。

 このため、連休前の発送予定が難しくなり、発送は連休明けになります。たびたびの遅延をお詫びします。

 

なお、品種名総覧は113日のビッグバザールでもグランカクタスさんに依頼して販売します(定価6千円)。昨年度会員の方には無償配布ですので、早く入手されたい方にはバザール会場でもお渡しします。

新規入会の方も昨年度分から入会(20122013年度会費合計=8千円をお支払いの場合)ならばバザール会場でお渡しします。

南アフリカではハオルシア産地のロ-ラー作戦とでも言うべき網羅的探索がBayerBreuer、あるいは日本ではまったく名を知られていない多数の若手研究者によって盛んに行われており、多くの新種が発見されています。


その成果はBayerUpdateBreuerThe Genus Haworthiaに発表されていますが、多くは未整理のままです。つまり新種としては記載されていませんが、私の見るところ明らかに新種と思われる群落が多数あります。Breuerの発見したものはいずれ新種として順次記載されていくでしょうが、Bayerの種概念は非常に大雑把なので、彼が発見したものは誰か他の人が整理する必要があるでしょう。

もちろん網羅的と言ってもハオルシアの産地全体から見ればごく限られた地方だけなので、これら以外にもまだまだ多数の新種が今後発見されることでしょう。

このような状況はハオルシアに限らず、南アフリカの多くの多肉植物に共通です。例えばAvonia属(旧Anacampseros属の一部。スベリヒユ科)には2000年代初めにはすでに70種を超える種が記載されていますので、今日では100種を超えているかも知れません。Aloe属に至ってはすでに1500種を超えており、最終的には2000種を超えるでしょう。


これは産地が詳細に探索された結果ではありますが、同時に種概念が遺伝学的見地からより厳密になった結果でもあります。これまで漠然と同一種とされてきたものが花期の違いや産地間の距離など、遺伝子交換の可能性から形態的相違がより詳細に検討され、別種とされるケースが相次いでいるわけです。これは多肉植物に限ったことではなく、特に単純な形態ゆえに相異が鮮明ではなく、それゆえ同一種とされてきたコケやシダなどで顕著で、日本でも多くの新種が分離されています。

 

さて、ハオルシアの新種の内、園芸的に人気になりそうなものを今後順次、かつ適宜紹介していきます。ただし未記載なので、産地などの詳細は当分お預けです。今回はレツーサ系の新種で、Updateにも産地の写真が出ていますので、捜してみてください。産地ではおよそ目立たない姿でも、栽培するとこんなに良くなるという見本みたいな植物です。写真1から5まではすべて同一種です。


H. sp. nov.  (1)

写真1 H. sp. nov.


 H. sp. nov. (2)

写真2 H. sp. nov.


H. sp. nov.  (3)

写真3 H. sp. nov.


 H. sp. nov. (4)

写真4 H. sp. nov.


 H. sp. nov. (5)

写真5 H. sp. nov.


Dr. M. Hayashi




長らくお待たせしましたが、ハオルシア品種名総覧が10月30日に発行されます。
発送作業に2~3日、配送(メール便予定)に2~3日かかりますので、皆さまのお手元に届くのは連休明けになる予定です。

オブト錦(尾太錦=オブツーサの斑入り)は万象錦、コレクサ(コレクタ)錦と並ぶ、ハオルシア斑入りの3大人気品種です。オブト錦はこれらの中でも特にその透明な窓が強調されるので、美的評価は最も高いものです。

写真1 黒肌オブト錦 D=6.5
  写真1 黒肌オブト錦(山田ブラック錦) D=6.5


写真2 弁天錦 D=6.5
  写真2 弁天錦 D=6.5


最近の人気品種としては黒肌オブト錦(山田ブラック錦。写真1)や残雪オブト錦、えびす錦、弁天錦(別系オブト錦。写真2)などの他、琥珀斑(白糊斑)の白蛇伝やミルキークラウド(いわゆるピリフェラ錦の正名)などがあります。ただし花水晶(いわゆるオブツーサ錦)はオブツーサH. obtusaではなく、スタイネリーH. stayneri(交配)の斑入りです。


写真3 丸尾錦 D=5
  写真3 丸尾錦 D=5


オブト錦は一般にずんぐり頭(鈍頭)ですが、葉先にはノギはなくても先端があります。これに対し葉先が完全に丸くて先端部がなく、無毛のものは丸尾錦(頭の錦。写真3)として区別しています。つまり、丸尾錦はオブト錦(尾太錦)の内、葉先が完全に丸くて無毛の品種と言うわけです。希少な上によりすっきりしているので、非常に高く評価されます。ただし小型で群生するイクラなどの斑入り(イクラ錦)は無毛丸頭でも丸尾錦には入りません。


 

さて、中大型の無毛丸頭オブツーサと言えば紫オブトが良く知られていますが、これにはいくつかのクローンがあり、いずれも良く似ていますが微妙に性質が違います。例えば数年に渡り全く仔吹しないものから、毎年1つくらいづつ仔吹する個体があります。色づき方も濃い紫色になるものからあまり色づかず、むしろ青白い肌色のものまであります。


丸尾錦でも紫色に色づく、紫オブト錦と言えるものは極めてまれですが、最近それらしいものを入手したのでご紹介します。写真4から8までがそれで、すべて同一個体です。


写真4 紫オブト錦 D=4

 写真4 紫オブト錦 D=4 (写真4~8まで同一個体)


写真5 紫オブト錦 D=4

 写真5 紫オブト錦 D=4 (写真4~8まで同一個体)


写真6 紫オブト錦 D=4
  写真6 紫オブト錦 D=4 (写真4~8まで同一個体)


写真7 紫オブト錦 D=4
  写真7 紫オブト錦 D=4 (写真4~8まで同一個体)

 照明下の写真。雰囲気が異なる。


写真8 紫オブト錦 D=4
  写真8
 紫オブト錦 D=4 (写真4~8まで同一個体)

 夕日が当たった状態。透明感が増す。


この個体は斑の部分の葉がきれいなピンクになり、窓の葉脈も斑の入った部分はきれいなピンク色になります。斑の入らない葉は暗紫色、窓の葉脈も紫褐色で、斑の入った部分のピンク色と非常に良いコントラストになります。さらに斑が入った部分は葉の側面(斑入り部分)から光が入るので、バックライト効果で窓が非常に透明に見え、写真では良く表現できませんが、向こう側が透けて見えるくらいになります。オブト錦(丸尾錦)でも美的観点からして最高のものでしょう。


まだ小さい(直径4cm)ですが、大きくなったら素晴らしい美術品になるのではと期待しています。


Dr. M. Hayashi


 今週末、10月13日にカクタスニシさん方で開催される「カクタス・ニシ祭・競り会」について、日本ハオルシア協会が関係しているのかという問い合わせを時々受けます。

従来この時期には当協会の関西大会がカクタスニシさん方で開かれていましたが、今回の会合については日本ハオルシア協会は一切関与しておりません。

今後も予定はありませんので、お間違えのないようお願いします。

 

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