March 2013

Calaensis

 calaensis IB12513  SW of Cala (Photo by Breuer)
写真1 H. calaensis IB12513  SW of Cala (Photo by Breuer)

 calaensis  MH 12-165=IB 12513  D=9
写真2 H. calaensis  MH 12-165=IB 12513  D=9

H. calaensisのタイプとなった株 (IB 12513, 写真1) はずんぐり頭のほとんどH. obtuseのような形態の植物です。ただしどうやらこれは特異個体だったようで、わたしがBreuerから入手した植物 (写真2)やその後STCから売り出された植物も同じ採集番号(IB 12513)ですが、葉先はずっと尖り、葉幅もやや細いです。しかし、深い緑色の非常に透明な窓は共通でこれがこの種の特徴かなとも思えます。

 calaensis IB 17453 SW of Cala (Photo by Breuer)
写真3 H. calaensis IB 17453 SW of Cala (Photo by Breuer)

H. calaensisにはタイプ群落近くにもう一か所産地があり、Breuerの“The Geneus Haworthia―Book 2” にはこちらの植物の写真 (IB 17453、写真3)が載っています。2つの産地の間は約6 kmしか離れておらず、また深い緑色の非常に透明な窓も共通なのでこの群落をH. calaensisとすることに問題はなさそうです。

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写真4 H. calaensis  MH 12-166-1=IB 17453.  SW Cala  D=8.5

 calaensis  MH 12-166-2=IB 17453  D=6
写真5 H. calaensis  MH 12-166-2=IB 17453  D=6

 calaensis  MH  12-166-3=IB 17453  D=11
写真6 H. calaensis  MH  12-166-3=IB 17453  D=11

ところがわたしがBreuerから入手したIB 17453 (写真4~6) はより淡緑色で、窓の透明感もそれほど高くありません。つまりH. specksii等により近い植物だと言えます。あるいは鋸歯もより多いので、この点ではH. blackbeardianaにも近いと言えます。
どうやらCalaでは深い緑色の非常に透明な窓の植物からやや淡緑色でそれほど透明感の高くない窓の植物までが群落内に混生しているのではないかと思われます。もっとも『それほど透明感の高くない窓』といっても標準的なH. blackbeardianaH. specksiiよりはだいぶ透明なので、この点は問題なさそうです。

 Alban's, 80km SE Cala (Photo by Breuer)
写真7  H. albans (仮名)IB 7034, St. Alban's, 80km SE Cala (Photo by Breuer)

一方、BreuerがBook 2で“H. species” としているH. calaensis近似のいくつかの植物はいずれも新種だと思われます。例えば比較的良く普及しているSt. Alban’s の植物(IB 7034, 写真7.H. albans 仮名)はIB 17453に良く似ていますが、産地は80 km以上も離れていますから同一種ということはないでしょう。
Breuerの“H. species” の他にもこのような淡い色調の透明窓の植物群落が相当数あり、どうやらこれらはH. blackbeardianaH. specksiiとも異なる別系統の植物かもしれない、という可能性があります。あるいは位置づけが不明確だったH. hisuiの系統かもしれません。このグループの解析は今後の課題です。


Dr.M.Hayashi

Diaphana

 diaphana type clone
写真1 H. diaphana type clone

H. diaphanaは1986年に大桑氏がSheilam Nurseryから輸入した3株のGamtoos Valley 産植物(販売名はH. translucens)を命名したものです。産地的には最も近いと思われるH. venetia (Hankey)の仲間かと思われましたが、形態的にはむしろAlbany地方のH. pallensやより内陸部QueenstownのH. specksii、あるいはOld Thomas River roadのH. speciosa等に近く、その分類学的位置づけはかなり疑問がありました。

記載タイプになった大桑氏の3株はどうも同一クローンだったようで、形態的にはほとんど同じで何度交配しても結実しません。単一クローンとなると変異の幅がわからず、したがってこの植物が本当にこの種の群落から採集されたものなのか、もしそうだとしてこれはその群落の平均的個体なのか、特異個体なのか、あるいは近隣他種の特異個体なのか、はたまたH.pallensH. specksiiのラベル間違いなのか判断できないということになります。

高等動物など、近縁種群の変異の幅が分かっているグループでは1個体だけのサンプルでもそれが既存のどの種にも属さない、つまり新種だということが比較的容易に判定できます。H. diaphanaの場合も産地が正しければ、その周辺にこのような種が存在しないことは確かなので新種として記載しましたが、その後、単一クローンらしいということが明らかになったということもあり、もう少し補強データが欲しいと思っていました。


 diaphana clone 2
写真2 H. diaphana clone 2

 diaphana clone 3
写真3 H. diaphana clone 3


ところが大桑氏の他に阪井健二氏もそのころSheilamから同じ植物を輸入していて、産地名も販売名も同じその植物を最近2クローン入手しました。写真1はタイプクローンですが、写真2はより細長葉クローン、写真3はより短葉幅広型クローンです。

タイプ個体を含め、3クローンを並べてみると、H. diaphanaが確かに既存のどの種にも属さない独立種であること、タイプ個体は特異個体ではなくむしろ平均的個体だったこと、がわかります。

特に写真3の短葉幅広型はH. transiensとの関係を示していると考えられ、この植物が当初推定されていたH. venetiaなどよりむしろH. transiensに近縁らしいことがわかりました。葉先の透き通るような透明感はこれで説明できますし、H. pallensH. specksiiのグループとの違いの1つもここにありそうです(後者のグループの窓はより曇っている)。


 
 diaphana
写真4 H. transiens x H. diaphana



 'Skeleton Lace'
写真5 H. 'Skeleton Lace'

H. diaphanaH. transiensを交配すると、写真3よりさらにダルマ型の植物(よりH. transiensに近い。写真4)ができますが、窓は両者より曇っています。ただ単頭性でH. transiensよりずっと大きくなりそうなので、H. transeinsに戻し交配したらおもしろそうです。

スケルトンレース(写真5)もなんとなくH. diaphanaに感じが似ているので、あるいはその交配種かもしれません。


 


1986年ころに阪井健二氏から買った(またはSheilamから直接輸入した)Gamtoos Valley 産のH. translucensをお持ちの方が他にいらっしゃいましたらご一報ください。


 


なお写真3の植物は繁殖品が1、2本ありますので、フェステバルの交換会に出します。


Dr.M.Hayashi

H.bellaの補足

H.bellaですが、その後確認したらこの冬の間に単頭性だと思っていた株の下部からいっぱい子が出ていました。つまりH.leightoniiみたいにある程度は単頭で大きくなるけど、一定の大きさになると下部から沢山子吹きするタイプのようです。ただし全体の中ではこのようなタイプは3割ほどで、他の多くは十分大きくならないうちにたくさん仔吹してきます。
しかし‘白い妖精’はあいかわらず2頭のままですからこれはどうやら非仔吹性のようです。したがって‘白い妖精’ x '青い妖精’の実生もある程度単頭性ないし非仔吹性を期待できそうです。

Dr.H

単頭性と分頭性

resized_FH040031
H.cummingii 単頭性個体 このような株は全体の30%程度。

例えばH.cummingiiなら①のような写真が掲載されることが多い。産地を訪れた人は被写体としてこのような立派な株を探して写真を取るから、それらの産地写真を見て多くの人がH.cummingiiは単頭性で結構大きくなる植物だと思うであろう。

resized_FH040033
  H.cummingii 分頭性個体 この程度の群性株が最も多い。


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H.cummingii 分頭性個体 大群生。たぶん複数クローンが生えている。

ところが産地では実際には②や③のように分頭して大群生になっている株が半分以上を占める。

現地株を採集して繁殖する場合、単頭性の株はなかなか仔吹きをしないが、分頭性の株はそれゆえに良く繁殖し、その結果、SheilamでもEdenでも販売されるのはほとんどが小型ですぐ分頭する植物ばかりとなる。H.cummingiiの場合、そのような株は1頭がせいぜい直径5~6cm程度にしかならない。しかし単頭性のH.cummingiiは直径12~13cm以上になり、見事である。

同じく単頭性の立派な株の写真が良く掲載されるH.davidiiでも半分くらいは仔吹性で、したがって繁殖されて販売されるものの多くは仔吹性である。


反対に仔吹性だと思われている例えばH.bellaでも`青い妖精’は仔吹性だが、`白い妖精’はなかなか仔吹しない。そして最初にSheilamから買った10株近い個体の中にはやはりほとんど仔吹せず、単頭のまま大きくなる個体がある。(Sheilam等では初めは山取り個体をそのまま売っていることが多く、単頭性の株も混じっているが、後になると仔吹性の株から繁殖したものばかりになる。)

同様に群生性だと思われているH.ikraH.kubusieでも中にはほとんど仔吹せず、単頭のまま直径6~7cmくらいまで大きくなる個体があり、H.obtuseと見間違えるほどである。


収集家としては当然単頭性の株が欲しいわけだが、一般に市販されているカキ仔繁殖品はそれから実生してもやはり分頭性や群生性の個体が多い。一方、単頭性の大型株同士から実生したものはH. cummingiiの場合など、半分以上が単頭性らしい(単頭性株は花茎が1本しか上がらないが、分頭性株は2本以上上がる)。

したがって単頭性の株を繁殖するには単頭性株から葉挿しなどで無性繁殖するか、単頭性株同士から実生するしかない。



幸いH.cummingiiH.bellaなどでは単頭性株から実生が多少できているので、今度のハオルシアフェステバルで販売する予定。

Dr.H

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☆品種等の質問はハオルシア協会会員に限定します。

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