Worcester-Robertson KarooはCape Townに比較的近く、雨も小カルーより多いので比較的早くから開けてきた地方です。ハオルシアもH. reticulate, H. pallid、H. maximaなどの仲間の主産地になっています。H. setataの仲間も多いですが、この仲間の主産地はむしろ小カルーだと言えます。
小カルーのMaxima様植物にはH. ohkuwaiの他、H. martinii n.n. (Matjiesfontein)、Rooibergの未命名種、H. opalina、それにLangebergのすぐ北側のBarrydale, Montaguなどにところどころにある群落(未命名)が知られています。H. opalinaは外見はMinima様ですが、花は完全にMaxima類の花です。
小カルーのH. maxima様群落はいずれも他の群落からは非常に隔離されています。このうちKeurfontein (Laigsburgの南約20km)の群落は結節が密で大きく、葉の上面にも多数の結節があるなど、Worcester-Robertson KarooのMaxima類とはかなり異なる特徴があるのでH. ohkuwaiとして分離しました。
H. ohkuwai は間違いなくMaxima類の最美種で、ドーナツ冬の星座(H. anulata n.n.)とは異なる美しさです。タイプ産地のKeurfonteinの他、山を挟んで互いに約10km程離れたVrede、Esselsfonteinが産地として知られています。以下、写真でその様子をご紹介します。
写真1はタイプ産地のKeurfonteinです。まばらな植生が雨の少なさを示しています。写真2~4はKeurfonteinのH. ohkuwaiで、特に結節の大きな個体です。野生株でも育種選抜個体よりすごい結節で、見事というほかありません。 写真11はH. ohkuwaiの祖先と考えられるOsplaasのH. osplasa n.n.です。OsplaasはWorcester Karooの北の端で、小カルーの入り口にあたり、この群落から種子が小カルーに飛散してH. ohkuwaiになったと考えられます。 なおOsplaasには素晴らしい斑紋(たぶん最良)のH. limbataが生育しています。
Dr.M.Hayashi
写真1 Keurfontein
写真2 Keurfontein
写真3 Keurfontein
写真4 Keurfontein
写真5 Vrede 背景の山はAnysberg 手前中央やや左にH. ohkuwai が2本見える。
写真5はVredeの産地の様子です。Keurfonteinより灌木の背はやや高いですが、やはり非常にまばらな植生です。ここはAnysberg 保護区の中で、背景の山はAnysbergです。
写真6 Vrede
写真7 写真6の個体の拡大
写真8 Vrede
写真6~8はVredeのH. ohkuwaiで、同じく特に結節の大きな個体です。写真7は写真6の個体の部分拡大写真です。
写真9 H. martinii Matjiesfontein
写真10 H. martinii Matjiesfontein
写真9、10はMatjiesfonteinのH. martiniで、H. ohlkuwaiと違って結節の大きさや密度は特に大きくありません。しかし肌色が白緑色~薄黄緑色で、非常に特異な葉色です。
写真11 H. osplasa n.n. Osplaas