「輸入差し止め手続き」 開始のお知らせ等

商標登録された品種名の苗が海外から輸入され、無許可で販売されている問題で、名古屋税関と輸入差し止めの事前協議を行いました。

当会が記録した輸入品と見られる無断販売苗の画像を検討してもらった結果、商標権侵害の事実がありそうなので、輸入差し止めに必要なヤフオク画面など無断販売の証拠や商標登録原簿の謄本などの書類をそろえて提出してくださいということになりました。

輸入差し止めは商標登録された品種ごとに、書類が整い次第順次始まり、当会の許可を得ていない苗は税関で没収となります。また差し止め(没収)は名古屋税関だけでなく、日本全国すべての税関で行われます。税関検査をすり抜けて輸入された苗は密輸品ですので、発見次第刑事告訴することになります。

なお別名や無名で輸入している苗の場合は、不正競争防止法違反の判決が必要ですので、輸入差し止めは裁判確定後になります。ただしそれまでの間、商標登録後に無許可で販売された苗すべてについて、判決確定後に損害賠償を請求し、かつ悪質な密輸事件として刑事告訴します。輸入苗でない場合でも別名販売や無名販売には同様の対処をします。

また正規の登録商標名(正名)や類似商標名で販売された苗についても、許可なく販売した人には損害賠償を請求します。
この場合、弁護士から裁判所にヤフオクなどに対する出品者の情報開示命令を請求する費用や調査費用などが加算されますので、損害賠償請求額は出品者の販売額(利益)よりはるかに高額になります。

サネカタイ(H. sanekatai nom. nud.)

サネカタイはDrew周辺の小型のムチカ(H. mutica)近縁種です。DrewはBonnievaleとSwellendamとの中間にあり、ムチカの産地の東端になります。ムチカに似て葉は鋸歯がなく(全緣)で、葉先はやや丸くなります。やや小型ですが、まったく仔吹しません。最大の特徴は窓に白い雲が入ることで、“白雲ムチカ”と呼ばれるゆえんです。

① シルバニア
 写真① 'シルバニア'

この仲間で日本で最初に知られるようになったのは‘シルバニア’(写真①)です。これは私が北関東のセリ会で買った身元不詳の実生苗で、おそらくサネカタイの交配だろうと思われます。大きくならないと窓の白雲は出てこないのですが、大型、大窓、ダルマ葉で非常に草姿が良く、白雲窓に太い緑線が入る傑作です。

② ホワイトウイドウ (White Widow)
 写真② 'ホワイトウィドウ' (White Widow)

その後、Drew周辺から原種のH. sanekatai が輸入されるようになりましたが、多くはあまり白雲の顕著でない個体です。しかしそれらの原種株の中にはとんでもなく濃い白雲の出る個体があります。有名なものが‘White Widow’(白い未亡人。写真②)で、窓中央に大きくて濃い白雲が見事に入ります。ただしこの個体は老成しないと白雲が出ず、若木のうちはほとんど白くなりません。

③ ムーミン (Mumin)
 写真③ 'ムーミン' (Mumin)

④ スヌーピー  D=9
 写真④   'スヌーピー'  D=9cm

他のやはり非常に白い原種個体が‘Mumin’(ムーミン。写真③)です。これはかなり小型ですが、白さでは’White Widow’ 以上で、しかも小苗の内から真っ白になります。‘Mumin’ の実生選抜が‘Snoopy’ (写真④)で、白雲は‘Mumin’より薄いですが、より大型です。

⑤ Drew White  D=9
 写真⑤ 'Drew White'  D=9cm

また‘White Widow’ など、白雲の多い原種個体同士を掛け合わせて作られたのが‘Drew White’ (写真⑤)で、おおむねサネカタイの内、白雲の顕著な個体群を指すグループ名となっています。ただしサネカタイであればいずれの個体でも白雲の遺伝子は共通して持っているようで、あまり白くないサネカタイでも交配するとかなり白い個体が出現します。

反対に‘White Widow’ のように老成しないと白くならない個体の実生苗は少なくとも若木のうちはほとんど白くなりません。選抜という点からすると、‘Mumin’など、小苗の内から白くなる系統の方が育種上有利です。

⑥ Lombard Star
 写真⑥ 'Lombard Star'

さてこのように、窓に顕著な白雲が入るという特徴を生かして、サネカタイには多くの傑作交配種が作られています。代表的なのが‘Lombard Star’(写真⑥)で、窓全面に盛り上がった白雲が入り、溶かした砂糖をかけた砂糖パンのようです。ハオルシア研究21号の表紙を飾りました。

⑦ ロンバード B  D=14
 写真⑦ 'Lombard B' D=14cm

‘Lombard Star’ の兄弟がLombard Groupで、‘Lombard B’(写真⑦)から‘Lombard G’くらいまであります(‘Lombard A’ が‘Lombard Star’)。いずれも‘Lombard Star’ 程ではないものの、非常に白い雲の入る優良個体です。

またサネカタイはコレクサなど、窓に線模様の入る種と交配すると、線が非常に白く太くなり、そこに白雲も入るなど、非常に派手な個体が出現します。コレクサやコンプトの育種に使うと傑作の生まれる可能性があります。

⑧ Dream Walk  D=13
 写真⑧ 'Dream Walk' D=13cm

そのような傑作の祖期のものが‘Dream Walk’ (写真⑧)で、コレクサとサネカタイの交配です。非常に太い白線に白雲が入り、かなり派手な品種です。ただし白線は単純な直線が多く、明瞭な折れ線模様や網目模様にはなりません。これをコレクサ様の鮮明な折れ線模様や、コンプト様の網目模様に改良するのが今後の課題です。

⑨ サネカタイ交配 D=8.5
 写真⑨ サネカタイ交配 D=8.5cm

⑩ サネカタイxコレクサ  D=11.5
 写真⑩ サネカタイxコレクサ D=11.5cm

しかしそのような交配はすでに試みられていて、より鮮明な折れ線模様のコレクサ交配(写真⑨、⑩)や窓全面に白雲がかかり、そこに網目状の白線が入る‘エーデルワイ寿’(写真⑪)や、‘阿房宮’との交配では大型透明艶窓に非常に太くて白い白線の入る個体(写真⑫)などが作出されています。

⑪ エーデルワイ寿  D=9
 写真⑪ 'エーデルワイ寿' D=9cm

⑫ 阿房宮ーサネカタイ D=11.5
 写真⑫ 阿房宮ーサネカタイ D=11.5cm

太い白線と白雲が出るという遺伝的特徴を生かしたサネカタイ交配は、今後もさまざまな種の組み合わせで試みられ、さらなる傑作の出現が期待されます。

なお、‘白夜’は窓が白くなる点でサネカタイに似ていますが、小吹が非常に良いことなどから、どうもサネカタイではないようです。キムチカ(H. quimutica nom. nud.)には同じように窓の白くなる個体があり、仔吹の良い点なども含めて、おそらく‘白夜’はそのようなキムチカの特異個体ではないかと思われます。

商標登録について(追加)

拒絶査定されたハオルシア品種名の内、拒絶査定不服審判を申し立てていた下記商標の登録が決定されましたのでお知らせします。

新たに登録決定されたハオルシア品種名商標

Cameo(カメオ。H. lividaの特優品種名)

近日中に登録が公開される予定です。

これで拒絶査定不服審判を申し立てていた10件中、7件の登録が認められました。残り3件はまだ審判中です。

☆コメントは承認後に公開されます。
☆品種等の質問はハオルシア協会会員に限定します。

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